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Them There Eyes
- 作曲: PINKARD MACEO, TAUBER DORIS, TRACEY WILLIAM G

Them There Eyes - 楽譜サンプル
Them There Eyes|楽曲の特徴と歴史
基本情報
1930年に発表されたThem There Eyesは、作曲家メイシオ・ピンカードと作詞のドリス・トーバー、ウィリアム・G・トレーシーによるジャズ・スタンダード。スウィングの快活さと洒脱な歌詞で広く親しまれ、初期録音にはガス・アーンハイム楽団とビング・クロスビー(リズム・ボーイズ)によるものが知られる。
音楽的特徴と演奏スタイル
32小節AABA形式を基本とし、跳躍を含む印象的なメロディとシンコペーションが魅力。ミディアム〜アップテンポでのスウィング感が映え、歌唱では軽妙なアクセントやスキャット、器楽ではブレイクを活かしたコーラス構成が定番。コード進行は即興に適し、ジャムでも頻出する。
歴史的背景
ティン・パン・アレー流儀の作曲術と、ダンスバンド全盛の空気を反映した一曲。ピンカードはSweet Georgia Brownでも知られ、当曲も大衆性とジャズ的洗練の接点に位置づけられる。大恐慌期のムードの中、恋のときめきを描く軽やかな内容が人々の心をつかんだ。
有名な演奏・録音
代表的な歌唱としてビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルドのヴァージョンが高い評価を得る。初期にはビング・クロスビーの録音が普及に寄与し、その後も多くのヴォーカリストやスウィング・バンドがレパートリー化。インストでもサックスやギターの名手が取り上げてきた。
現代における評価と影響
現在もヴォーカル・ジャズの教材曲として定着し、セッションやステージでの定番。明快な構成と覚えやすいテーマは、ビバップ以降の語法にも馴染み、時代を超えて演奏され続けている。配信やリマスターの進展で名録音へのアクセスも容易になった。
まとめ
洒脱なメロディと遊び心ある歌の世界観、即興に開かれた構造を兼ね備えたThem There Eyesは、入門者にも通好みの耳にも響く不朽の一曲。歴史と名演を辿れば、スタンダードが生き続ける理由が見えてくる。