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I've Got A Feeling I'm Falling

  • 作曲: LINK HARRY,WALLER THOMAS FATS
#ジプシージャズ
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I've Got A Feeling I'm Falling - 楽譜サンプル

「I've Got A Feeling I'm Falling|楽曲の特徴と歴史」

基本情報

「I've Got A Feeling I'm Falling」は、Thomas “Fats” WallerとHarry Linkが手がけ、1929年に発表されたナンバー。作詞はHarry LinkとBilly Roseとされ、当時の流行歌の文脈からジャズ・レパートリーへと定着した一曲である。恋に落ちていく高揚感を題名が端的に示し、ヴォーカル曲として知られる一方、器楽演奏でも盛んに取り上げられてきた。現在では、20世紀前半のアメリカン・ソングブックを代表するジャズ・スタンダードのひとつとして位置づけられている。

音楽的特徴と演奏スタイル

リリカルで口ずさみやすい旋律と、穏やかな和声進行が魅力。テンポはミディアムからややスローのスイングで演奏されることが多く、ヴォーカルはニュアンス重視のフレージングが映える。ピアノではWallerゆかりのストライド的アプローチが相性良く、左手の跳躍と右手の歌心ある装飾で曲想が引き立つ。各セクションはアドリブに展開しやすく、コーラス構成でソロを重ねる伝統的なコンボ形式にも適している。

歴史的背景

1929年というジャズ黄金期初頭に生まれ、ティン・パン・アレーの職業作曲術とハーレム周辺のジャズ文化が交差した成果の一つとして評価される。レコード産業とラジオ普及が進む中で、楽譜販売と録音の双方で広まり、ダンス・バンドや小編成コンボの定番曲へと成長した。同時期のWaller作品群とともに、エンターテインメント性とジャズ的即興を両立する楽曲デザインが支持を集めた。

有名な演奏・録音

作曲者Fats Wallerによる自演は、本曲解釈の基準としてしばしば参照される。以降、数多くのジャズ・シンガーやピアニスト、スモール・コンボがレパートリーに取り入れ、時代ごとのサウンドで録音が重ねられてきた。個々のヴァージョンはテンポ設定やイントロ/アウトロの扱いに違いがあり、ヴォーカルでは歌詞の語り口、器楽ではメロディの装飾と和声的リハーモナイズが聴きどころとなる。具体的な映画での使用は情報不明。

現代における評価と影響

今日でもジャム・セッションやスタンダード集で目にする機会が多く、入門者からベテランまで幅広い層に親しまれている。メロディが明快でフォーム運びも分かりやすいため、アドリブ練習の題材としても有用。教育現場では、スイング・フィールや歌詞とフレージングの関係を学ぶ格好の素材として扱われることがある。クラシックなジャズ美学を体現する曲として、録音・演奏の更新も続いている。

まとめ

「I've Got A Feeling I'm Falling」は、恋心を穏やかに描くメロディと時代を超える普遍性で、今なお支持されるジャズ・スタンダードである。ヴォーカル・ナンバーとしての表現力と、器楽曲としての即興余地を兼ね備え、さまざまな編成・テンポで個性を発揮する。初学者のレパートリー拡充にも、表現の練磨にも適した一曲と言えるだろう。