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There's A Small Hotel

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#スイング#スタンダードジャズ
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There's A Small Hotel - 楽譜サンプル

There's A Small Hotel|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「There's A Small Hotel」は、Richard Rodgers(作曲)とLorenz Hart(作詞)によるブロードウェイ系ソングで、のちにジャズ・スタンダードとして定着した楽曲です。小さなホテルでのささやかな幸福を描くロマンティックな内容で、英語詞をもつ歌ものとして広く歌われています。初出舞台や厳密な初出年は情報不明ですが、ロジャース&ハートの黄金期に生まれ、アメリカン・ソングブックの一角を占める存在となりました。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかで流麗な旋律線と、ロジャースらしい滑らかな転調感が魅力。多くの演奏で32小節のAABA形式として扱われ、バラードからミディアム・スウィングまでテンポの幅が効きます。ヴォーカルでは語りかけるフレージングが映え、器楽では内声進行が活きるリハーモナイズが定番。ツー・ファイブ進行やセカンダリードミナントの置き換え、半音階的な導音処理を加えることで、気品を保ちながらもジャズ的な推進力を得られます。

歴史的背景

1930年代のブロードウェイ文化の中で育まれたロジャース&ハートの作品群は、劇場を越えて電波やレコードを介しスタンダード化しました。本曲もその流れに乗り、舞台文脈のロマンティシズムと、ポピュラー/ジャズ双方に親和的な書法が評価されました。歌詞は等身大の親密さを讃える内容で、当時の都会派感覚に合致。後年の歌手やジャズ・ミュージシャンが取り上げやすい普遍性を備えています。

有名な演奏・録音

代表的な録音として、Ella FitzgeraldのRodgers & Hart Songbook収録ヴァージョンは広く知られ、クリアな発音と端正なスウィング感で楽曲の品格を示しました。ほかにも多数の歌手・器楽奏者が取り上げ、ピアノ・トリオやギター編成でも定番化。個別の歴史的初演者や映画での使用については情報不明ですが、スタンダード集やソングブック企画で繰り返し録音され、世代を超えてレパートリーに残っています。

現代における評価と影響

現在もセッションやリサイタルで演奏され、教育現場ではAABA構造や歌詞表現の練習曲として取り上げられます。過度に技巧を誇示せずとも音楽性を示せるため、歌手の語り口や伴奏者のヴォイシングセンスが試される楽曲として重宝されています。録音や配信では、時代ごとのサウンドメイクに馴染む柔軟性が評価され、プレイリスト文脈でも“品の良いロマンティック・スタンダード”として存在感を維持しています。

まとめ

「There's A Small Hotel」は、端正な旋律と洗練された和声、親密な物語性を兼ね備えた名スタンダードです。ヴォーカル、器楽いずれにも適し、テンポや編成の可塑性も高い一曲。初出の詳細は情報不明ながら、ロジャース&ハートの魅力を体現し、今なお学習者からプロまで幅広く愛奏されています。まずは名歌手によるソングブック版から聴き、好みの解釈を探すのがおすすめです。