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Lassus Trombone

  • 作曲: FILLMORE HENRY
#ジプシージャズ#スタンダードジャズ
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Lassus Trombone - 楽譜サンプル

Lassus Trombone|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Lassus Tromboneは、アメリカの作曲家ヘンリー・フィルモアによる吹奏楽のための行進曲で、1915年に発表されたとされる代表作の一つ。トロンボーンのスライドを活かした“スミア(smear)”奏法を前面に出し、明快なリズムとユーモラスな音色で聴衆を魅了する。吹奏楽の定番レパートリーとして、学校バンドからプロ団体まで幅広く演奏され続けている。

音楽的特徴と演奏スタイル

2/4拍子の行進曲スタイルを基盤に、ラグタイム由来のシンコペーションと軽快なアクセントが特徴。A–B–トリオ–ブレイク(ドッグファイト)–再現という米国行進曲の典型的な形式を踏まえつつ、低音金管、とりわけトロンボーンのグリッサンドが主役を担う。演奏では、スミアの幅とタイミング、スタッカートとレガートの対比、バスラインのスウィング感を過度に誇張しすぎないバランスが鍵。テンポは歯切れよく、アーティキュレーションは揃え、トリオでのダイナミクスの整理とハーモニーの明度を確保すると曲想が生きる。

歴史的背景

フィルモアは多数の“トロンボーン・スミア”作品を残し、ユーモアとショーマンシップを吹奏楽に持ち込んだ作曲家として知られる。Lassus Tromboneはその系譜の中核で、サーカス・バンドや屋外コンサートの人気曲として広まった。アメリカ吹奏楽の黄金期に生まれ、行進曲の形式にポピュラー音楽的語法を融合した点で、20世紀初頭の娯楽音楽の気分を色濃く伝える。

有名な演奏・録音

本作は米国内外の吹奏楽団によって多数録音されている。大学吹奏楽団、軍楽隊、シンフォニック・バンドの定番としてカタログが豊富で、トロンボーン・セクションをフィーチャーするプログラムの常連曲となっている。具体的な演奏者・盤の代表例については情報不明だが、コンサート用とマーチング用の両アレンジが広く利用されている点は押さえておきたい。

現代における評価と影響

今日でも教育現場からプロの舞台まで頻繁に取り上げられ、トロンボーンの表情豊かな音色と娯楽性を伝える教材・ショーピースとして評価が高い。編成の自由度が高く、屋内外のさまざまなシーンに適応できる実用曲であることも普及を後押しする。演奏者にとってはスミアのコントロール、セクションの一体感、リズムセクションの推進力など、基礎と表現力を同時に磨けるレパートリーだ。

まとめ

Lassus Tromboneは、行進曲の明快さとユーモア、そしてトロンボーンの魅力を凝縮したフィルモアの名作。形式は伝統的ながら、滑らかなスミアと軽妙なシンコペーションが唯一無二の個性を与えている。資料性と実演効果の両面で価値が高く、これからも吹奏楽の核となるレパートリーとして演奏され続けるだろう。