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They Didn't Believe Me

  • 作曲: KERN JEROME
#スタンダードジャズ
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They Didn't Believe Me - 楽譜サンプル

They Didn't Believe Me|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「They Didn't Believe Me」は、作曲ジェローム・カーン、作詞ハーバート・レイノルズによる1914年の楽曲。ブロードウェイ・ミュージカル『The Girl from Utah』で初演され、男女デュエットとして紹介された。恋の確信と喜びを親密に語る英語詞を持ち、舞台の枠を越えて広く歌われるようになった現在では、ジャズ・スタンダード/ショー・チューンとして定着している。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかなミディアム〜バラードのテンポで演奏されることが多く、滑らかな旋律線と自然な言葉運びが魅力。原曲はデュエットの掛け合いを前提にしつつ、ソロ・ボーカルでも成立する普遍性を備える。和声は伝統的だが、解釈次第でサブドミナント・マイナーの色合いを強調したり、ルバートのイントロやハーフタイム・フィールを用いるなど、多彩な編曲に馴染む。フレージングは4〜8小節単位で組み立てやすく、移調やフェルマータを生かした終止など、演者の個性を反映しやすい。

歴史的背景

1910年代のブロードウェイでは、欧州オペレッタ風から、より会話的で親密なアメリカ的ラヴソングへと潮流が移行していた。本曲はその転換を象徴するヒットとなり、カーンの初期代表作として位置づけられる。『The Girl from Utah』初演ではジュリア・サンダーソンとドナルド・ブライアンが歌い、舞台での成功を足掛かりに楽曲は独立した人気を獲得。のちにポピュラー/ジャズ両領域の歌手・演奏家に広く取り上げられ、スタンダード化していった。

有名な演奏・録音

初演以降、男女デュエット、ソロ・ボーカル、ギターやピアノ中心の小編成、さらにはビッグバンド・アレンジまで、多様な形で録音・演奏されてきた。古典的スタンダードを扱うリサイタルやトリビュート・アルバムで選曲される機会も多い。具体的な代表録音の網羅的リストやチャート成績は情報不明だが、作品の柔軟な構造とシンプルな旋律は、時代や編成を問わず再解釈に向いていると評価されている。

現代における評価と影響

今日ではグレイト・アメリカン・ソングブックの一角として認知され、音楽大学やジャズ教育の現場でも、英語ディクション、情感表現、デュエットの掛け合い、伴奏との呼吸合わせを学ぶ教材として重宝される。過度な技巧を求めず、言葉と旋律の親密さを際立たせる楽曲ゆえ、入門者のレパートリーから上級者の表現深化まで幅広く対応。ライブでもアルバムでもプログラムの緩急を整えるラブ・バラードとして機能している。

まとめ

「They Didn't Believe Me」は、舞台発の恋歌が時代を超えて普遍性を獲得した好例である。素朴で記憶に残る旋律と洗練された語り口は、多様なアレンジに耐え、歌い手と聴き手の距離を近づける。これからもデュエット、ソロ、器楽アレンジまで、幅広い文脈で歌い継がれていくだろう。