Mahogany Hall Stomp
- 作曲: WILLIAMS SPENCER
Mahogany Hall Stomp - 楽譜サンプル
Mahogany Hall Stomp｜楽曲の特徴と歴史
基本情報
Mahogany Hall Stompは、スペンサー・ウィリアムズ作曲のジャズ・インストゥルメンタル。タイトルはニューオーリンズの娯楽施設“マホガニー・ホール”に由来し、無歌詞で演奏される。1929年のルイ・アームストロングの録音によって広く知られ、今日では伝統的ジャズの定番曲として位置づけられている。
音楽的特徴と演奏スタイル
軽快なテンポと2ビートの推進力、リフ主体のテーマ、ホーンのコール＆レスポンスが核。集団即興とトランペット（またはクラリネット、トロンボーン）のホットなソロが交互に現れ、ブレイクやストップ・タイムでソリストを際立たせる。終盤に向けてダイナミクスを高める“ストンプ”らしい熱量が魅力だ。
歴史的背景
作曲者ウィリアムズはニューオーリンズ出身で「Basin Street Blues」でも知られる。楽曲名の“マホガニー・ホール”は、ストーリーヴィル地区で名を馳せた娯楽施設（経営者ルル・ホワイト）にちなむ。地区は1917年に閉鎖されたが、当時のナイトライフとブラス文化の記憶をモチーフとして継承。1920年代末の録音ブームとも重なり、初期スウィングへの橋渡しとなった。
有名な演奏・録音
代表的音源は1929年のルイ・アームストロング＆ヒズ・オーケストラ。以降もアームストロングはライヴで再演し、トラディショナル系バンドの常用レパートリーとして定着した。編成は小コンボからダンス・バンドまで幅広く、名手のソロを披露するショウケースとして機能する。映画での使用：情報不明。
現代における評価と影響
現在もニューオーリンズ〜ディキシーランド系のセッションやフェスの定番で、初期ジャズの語法（リフ、ブレイク、集団即興、2ビート）を体感できる。復刻盤や配信でアクセスしやすく、若い奏者にも継承。アレンジの自由度が高く、各バンドの個性が出やすい点も評価されている。
まとめ
無歌詞の“ストンプ”として、Mahogany Hall Stompはニューオーリンズの記憶とジャズの醍醐味を凝縮した一曲。アームストロングの名演を起点に多様な解釈を受け入れてきた歴史的スタンダードとして、今後もステージで鳴り続けるだろう。