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Mandy (There's A Minister Handy)

  • 作曲: BERLIN IRVING
#ジプシージャズ#スタンダードジャズ
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Mandy (There's A Minister Handy) - 楽譜サンプル

Mandy (There's A Minister Handy)|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Mandy (There's A Minister Handy)」は、アーヴィング・バーリンによるポピュラー・ソングで、1919年のブロードウェイ・レビュー「ジーグフェルド・フォリーズ」で初めて紹介されたショーチューンである。作曲だけでなく作詞もバーリン自身が手がける彼の定型に属し、舞台の華やかな群舞やコミカルな演技と相性の良い、キャッチーで明快なメロディが特徴。楽曲としては歌詞の物語性が前面に出る“歌もの”で、レビューの中核ナンバーとして広く知られる。

歌詞のテーマと意味

副題“There’s a Minister Handy”(すぐそばに牧師がいる)というフレーズが示す通り、結婚をほのめかす求愛の機知と高揚感が核となる。語り手は「マンディ」に向けて今こそ結ばれる好機だと弾む心情を伝え、舞台上では明るい振付や掛け合いとともに、プロポーズの軽やかな喜劇性を描く。深刻さよりも祝祭性と親しみやすさを重視したテキストで、観客を即座に巻き込むエンターテインメント志向が貫かれている。歌詞全体の詳細や固有の物語設定は上演版により差異があり、統一版は情報不明。

歴史的背景

第一次世界大戦直後の1919年、ニューヨークでは豪華なレビューが大衆娯楽の中心にあり、バーリンは時代感覚に合致した軽快なナンバーを量産していた。当時のショービジネスにはミンストレル・ショーの系譜やステレオタイプ表現が混在しており、今日では批判的検討の対象となる部分もある。一方で、舞台構成の核となる“覚えやすく踊れる歌”を提供するという点で、本曲はレビュー文化の要請に的確に応え、バーリンの職人芸を示す実例として位置づけられる。

有名な演奏・映画での使用

舞台「ジーグフェルド・フォリーズ」で人気を博し、その後もレビュー系公演で再演されてきた。映画では、1954年の『ホワイト・クリスマス』におけるミンストレル・メドレーの一部として取り上げられたことで広く認知され、舞台起源のショーチューンがスクリーンで再文脈化される好例となった。初演時の具体的な配役・演出の細部や、商業録音のチャート成績などの数値的情報は情報不明だが、上演と映像作品を通じて世代を超えた浸透が進んだことは確かである。

現代における評価と影響

「Mandy」は、耳に残るリフレインと舞台映えする構成によって、バーリンの“歌って踊れる”作劇術を象徴する楽曲として評価される。他方で、作品が生まれた時代特有の表象については現在の価値観から再検討が求められ、演出や上演文脈に配慮した紹介が進んでいる。ショーチューン史・ブロードウェイ史を学ぶ上でも頻出するリファレンスであり、20世紀前半のアメリカ大衆音楽が持つ娯楽性と歴史的文脈を併せて理解する入口となっている。

まとめ

1919年のレビューから生まれた「Mandy (There’s a Minister Handy)」は、結婚をめぐる軽やかな求愛を描く歌詞と覚えやすい旋律でショーの華を担ってきた。舞台と映画を横断して受容され、バーリン流ポピュラー・ソングの強靭さを示す一方、歴史的文脈の検証も不可欠である。今日でもショーチューンの代表例として参照され、エンターテインメントの伝統と課題の双方を映し出す重要曲といえる。