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Things We Did Last Summer

  • 作曲: STYNE JULE
#スタンダードジャズ
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Things We Did Last Summer - 楽譜サンプル

Things We Did Last Summer|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Things We Did Last Summer」は、作曲家Jule Styneと作詞家Sammy Cahnが1946年に発表した英語のポピュラー・ソング。恋愛の記憶を回想する内容で、以後ジャズ・ヴォーカルの定番として歌い継がれてきた。原題表記は“The Things We Did Last Summer”ともされる。オリジナルの出版社や初演者の詳細は情報不明だが、当時のアメリカ音楽界で広く親しまれ、現在はグレイト・アメリカン・ソングブックの一曲として扱われることが多い。

音楽的特徴と演奏スタイル

この曲は静かなバラード・テンポで歌われることが多く、繊細な旋律線と余白を活かしたフレージングが要。ヴォーカルは語りかけるように抑制されたダイナミクスで進行し、伴奏はピアノやギター、ブラシを用いたドラムが中心。ジャズではルバートで導入し、以後はスウィングの脈動に乗せる解釈が定番で、終盤に向けてわずかに盛り上げる設計が好まれる。ポップス寄りの録音ではストリングスを加え、余韻を重視したサウンドで甘美さを強調する。

歴史的背景

1946年は第二次世界大戦終結直後。戦時色から解放された米国では、ラジオとレコード市場が再活性化し、親密で私的な感情を歌うバラードが支持を集めた。ヒットメーカーとして名高いCahn–Styneのコンビは同時期に「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」や「Time After Time」なども手がけ、本曲もその流れに連なる。夏の記憶を慈しむ視点は、喪失と再生を共有した世代の感情に寄り添い、時代の気分と響き合った。

有名な演奏・録音

発表当時から多くの録音が残る。特にフランク・シナトラの1946年のバージョン(アレンジ:Axel Stordahl)は、柔らかなオーケストレーションで名高い。ジョー・スタッフォードも同年に録音し、澄んだ声質で曲の叙情を際立たせた。以後、数多くのジャズ・ヴォーカリストがレパートリーに採用し、ピアノ・トリオやギターとのデュオ編成でもしばしば取り上げられる。代表盤の網羅的なリストは情報不明だが、年代を越えて継続的に録音されている。

現代における評価と影響

今日ではスタンダード集の一角を占め、ジャズ・クラブやリサイタルのバラード枠で重宝される。歌詞の語感とメロディの親和性が高く、発音とブレス、レガートの練習曲として教育現場でも扱われることがある。編曲の自由度も高く、ミニマルな伴奏からフル・オーケストラまで対応可能。季節感を喚起するテーマは、映像や舞台の挿入曲としても適合し、配信時代においてもプレイリストでの回遊性が高い。

まとめ

「Things We Did Last Summer」は、簡潔な言葉と気品ある旋律で“思い出の夏”を描く普遍的なバラードだ。1946年の誕生以来、ポピュラーとジャズの架け橋として愛され、シンガーの表現力を映す鏡であり続けている。初めて取り組む場合はテンポを抑え、語るような歌い出しから自然なクレッシェンドへ。名演に触れつつ自分の声に合うキーと伴奏で、自分だけの夏の記憶を紡いでほしい。