Marie
- 作曲: BERLIN IRVING

Marie - 楽譜サンプル
Marie|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Marieは、アメリカの名匠Irving Berlin(表記: BERLIN IRVING)が作曲したポピュラー・ソングで、のちにジャズ・シーンでも広く演奏されるようになった楽曲。発表年は1928年とされ、当時のティン・パン・アレー由来の歌物として位置づけられる。作詞者については情報不明。メロディは端正で記憶に残りやすく、ビッグバンドの編成に乗せると旋律とハーモニーの映え方が際立つため、スウィング期以降、歌入り・インストゥルメンタルの双方で取り上げられてきた。
音楽的特徴と演奏スタイル
本曲は、旋律線が素直に上昇・下降しながら感情の起伏を描くのが特徴で、歌唱ではフレーズ末尾の間合いが表情を左右する。ジャズ演奏では4ビートのスウィング・フィールに良く合い、ブラスの鋭いリフとサックス・セクションの滑らかなハーモニーによるコール&レスポンスが定番の設計。テンポは中速からやや速めまで幅があり、トランペットやテナーサックスのソロ・スポットを置くアレンジが多い。和声的にも置き換えがしやすく、リハーモナイズで現代的な色彩を与える解釈にも耐える。歌付きの場合は、旋律を過度に崩さず、レガートで運ぶ解釈が好まれる一方、インストではスウィングの推進力と明快なテーマ提示が求められる。
歴史的背景
1920年代末は劇場音楽とポピュラー・ソングが密接に結びつき、印刷譜とレコードの双方で楽曲が広まる時代だった。Marieもそうした流通経路から人気を獲得し、1930年代のビッグバンド時代に入るとアレンジ面の工夫を得て、ダンスホールやラジオ放送で親しまれるようになった。特に1937年にはトミー・ドーシー楽団の演奏で広く知られる存在となり、以後、同楽団のレパートリーの中でも重要曲として扱われる。映画や舞台での明確な初出や物語上の位置づけは情報不明だが、当時のエンターテインメント産業全体の潮流に乗って拡散したことは確かだ。
有名な演奏・録音
決定的な名演として語られるのがトミー・ドーシー楽団の録音で、力強いブラス・リフと流麗なサックス・ヴォイシング、そして歌入り・インスト両軸での完成度が評価を支えている。その後も多くのビッグバンドやジャズ・コンボがカバーし、ライヴの定番として演奏され続けてきた。個々のアーティストの網羅的な一覧は情報不明だが、ビッグバンドの教育現場のレパートリーに組み込まれることも多く、トランペットのリードやサックス・セクションのアンサンブル練習にも適した曲として重宝されている。
現代における評価と影響
Marieは、ジャズ・スタンダードとしての普遍性と、歌ものとしての親しみやすさを兼備する点が高く評価されている。編成や時代に応じてアレンジの自由度が高く、クラシカルなスウィングの語法から現代的なハーモニー処理まで受け止める懐の深さが魅力である。ビッグバンドの歴史を辿るうえでも、ポピュラー・ソングがダンス音楽やジャズの文脈で発展していく過程を示す好例として参照されることが多い。今日でもコンサートやジャズ・イベントでの再演が続き、Irving Berlin作品群の中でも実演頻度の高い一曲として位置づけられている。
まとめ
Irving BerlinのMarieは、1928年に生まれ、スウィング期にビッグバンドの名アレンジで大きく花開いた楽曲である。歌としての美しい旋律に加え、ジャズ的な発展性が高く、ソリストの妙味とセクション・アンサンブルの醍醐味を両立できる。特定の歌詞内容や舞台初演の詳細は情報不明だが、スタンダードとしての生命力は揺るがず、歴史的価値と実演価値を兼ね備えた一曲として、現在も広く愛好され続けている。