Memphis Blues
- 作曲: HANDY WILLIAM C

Memphis Blues - 楽譜サンプル
Memphis Blues|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『Memphis Blues』(別名The Memphis Blues)は、W.C.ハンディが作曲し1912年に出版された初期ブルースの代表曲。のちにジョージ・A・ノートンの歌詞が加わり、器楽・歌物の双方で広く演奏される。ジャズ/ブルースのスタンダードとして定着し、メンフィスとビール・ストリート文化を象徴する。
音楽的特徴と演奏スタイル
形式は12小節ブルースを核に、ラグタイム由来の複数ストレインを組み合わせたマーチ風構成。コール&レスポンス、ブルーノート、シンコペーションが要で、クラリネット、トロンボーン、コルネット等の三管アンサンブルが映える。中庸〜アップのテンポで、短いブレイクやターンアラウンドを足場にソロへ展開しやすい。
歴史的背景
原型は1909年、メンフィス市長選のキャンペーン曲「Mr. Crump」。これを改作し1912年に『The Memphis Blues』として出版。商業出版されたブルースとして最古級とされ、南部の黒人音楽語法を譜面に定着させた点で画期的だった。初期ジャズの誕生と普及の文脈でも重要視される。
有名な演奏・録音
初期録音にはVictor Military Band(1914)があり、軍楽隊編成の颯爽としたアレンジで人気を博した。同年、James Reese Europe’s Society Orchestraも取り上げダンス界へ浸透。後年ではLouis Armstrong『Plays W.C. Handy』(1954)収録が決定版の一つとして知られる。
現代における評価と影響
本作はブルース語法とラグタイム/マーチを橋渡しした先駆例として学術的にも参照される。フェイクブック収載の定番で、フェスティバルやマーチング、ストリート・バンドでも演奏機会が多い。映画・番組での使用例はあるが個別名は情報不明。
まとめ
出版ブルースの幕開けを告げ、ジャズのレパートリーを形作った記念碑的楽曲。マーチ的推進力とブルースの語り口の両立が、今日でも演奏の肝となる。