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Right Or Wrong

  • 作曲: BIESE PAUL,SIZEMORE ARTHUR L
#ジプシージャズ#スタンダードジャズ
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Right Or Wrong - 楽譜サンプル

Right Or Wrong|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Right Or Wrongは、1921年に発表された米国ポピュラー・ソング。作曲はPaul BieseとArthur L. Sizemore、作詞はHaven Gillespie。後年ジャズおよびウエスタン・スウィングのスタンダードとして定着し、シーンを横断して歌い継がれている。歌詞は「相手が正しかろうと間違っていようと、変わらぬ愛を誓う」という一途なテーマを中心に据え、平明で覚えやすいメロディが感情の起伏を支える。出版形態や初演者の詳細は情報不明だが、当時のダンス・ホール文化と放送の普及を背景に広く浸透した。

音楽的特徴と演奏スタイル

旋律線は素直で息づかいを乗せやすく、語り口のコントロール次第でバラードから軽快なスウィングまで幅広い表情を持つ。原曲はダンス・バラード/フォックストロットの趣だが、ジャズでは4ビートのウォーキング・ベースとシンコペーションで推進力を生み、ブレイクやフェイク・メロディで即興性を高める。ウエスタン・スウィングではフィドルやスティール・ギターのリフ、コーラスの応答、ツイン・フィドルのハーモニーが映え、ギターやフィドルのソロ回しによる展開が常套となる。キー設定やイントロ/エンディングの付け替えも容易で、編成に応じたアレンジが組みやすい。

歴史的背景

本作はティン・パン・アレイ全盛の1920年代に生まれ、楽譜出版とレコード産業、さらにラジオ放送の波に乗って普及した。都市部のダンス・オーケストラのレパートリーとして流布する一方、南部ではジャズのスウィング感と土着的な歌心が結びつき、のちにカントリー/ウエスタン・スウィングへ橋渡しを果たす。こうしたジャンル横断性は、単純明快な歌詞テーマと歌いやすい旋律に負うところが大きく、プロ・アマ問わず演奏現場で長く支持されてきた。

有名な演奏・録音

1929年のEmmett Millerによる録音は本曲の知名度を高め、ブルージーな節回しを伴う歌唱解釈の参照点となった。1930年代にはBob Wills and His Texas Playboysが取り上げ、ウエスタン・スウィングの主要レパートリーとして定着。以後もダンス・バンド、ジャズ・ボーカル、スウィング系フィドラーらが折に触れて録音・演奏している。映画やテレビでの顕著な使用例は情報不明だが、地域のダンス・ホールやライヴ・シーンでの定番曲として息長く親しまれている。

現代における評価と影響

本曲はジャンルの垣根を超える「歌えるスタンダード」として位置づけられ、ジャズ・ボーカルの入門曲からウエスタン・スウィングのダンス定番まで幅広く活用される。過度な転調や技巧に頼らず感情表現で勝負できるため、歌手の個性や楽器の音色を引き立てる教材曲としても評価が高い。セッションでも共有度が高く、年代や編成を問わずセットリストに組み込みやすい点が支持される理由である。

まとめ

Right Or Wrongは、1920年代ポピュラーの滋味とスウィングの躍動を併せ持つ名曲。Biese/Sizemoreの端正な作曲とGillespieの普遍的な言葉が、時代や地域を超えて共感を呼び、今なお多様な解釈を生み出している。歌い方や編成の自由度が高いことも相まって、スタンダードとしての寿命を支え続けている。