Roses of Picardy
- 作曲: WOOD HAYDN

Roses of Picardy - 楽譜サンプル
Roses of Picardy|歌詞の意味と歴史
基本情報
Roses of Picardyは、英国の作曲家Haydn Wood(表記ゆれ:WOOD HAYDN)による1916年のポピュラー・ソング。作詞は「Danny Boy」でも知られるFrederick E. Weatherly。タイトルの“Picardy(ピカルディ)”はフランス北部の地域を指し、第一次世界大戦期に前線となった土地でもあります。発表当初から歌唱曲として広く普及し、のちに器楽演奏でも取り上げられるようになりました。ジャンルとしてはポピュラー・ソングに位置づけられます。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、戦地と故郷に引き裂かれた恋人たちの“記憶”と“帰還への願い”を、バラのイメージに託して描きます。ピカルディのバラは、移ろう季節の中でも色褪せない愛や忠誠、再会への希望の象徴。切実な想いを情景描写に織り込みながら、哀愁と温かさを共存させるテキストが特徴です。直接的な戦闘場面を避けつつ、離別の痛みや慰撫の感情を普遍的な言葉で表し、時代や国を超えて共感を呼びました。歌詞の全文引用は控えますが、要旨としては“離れていても結ばれている”というメッセージが核にあります。
歴史的背景
1916年は第一次世界大戦のさなか。西部戦線の一部となったピカルディ地方は、多くの兵士にとって忘れ難い地名でした。前線と銃後をつなぐ歌として本曲は浸透し、兵士の慰問演奏や家庭のサロン、劇場などで歌われます。哀感を帯びた旋律と明快なハーモニーは、当時の楽譜文化とも相性が良く、歌唱やピアノ伴奏で親しまれました。戦後も懐旧の歌として長く歌い継がれ、英国発のポピュラー・ソングが国際的に広まる一例となりました。
有名な演奏・映画での使用
録音史では、テノール歌手ジョン・マコーマックらの演唱が普及に大きく寄与したことで知られます。ダンス・バンドやジャズ系の演奏家にも取り上げられ、ヴォーカル版に加えて器楽アレンジのレパートリーとしても定着しました。映画での具体的な使用作品名は情報不明ですが、戦時期やその記憶を扱う文脈で参照されることのある楽曲です。いずれの形態でも、旋律の美しさと情感の伝わりやすさが高く評価されています。
現代における評価と影響
本曲は、第一次世界大戦の文化的記憶を伝える代表的な“ラヴ・ソング”として位置づけられています。声楽のリサイタル、室内楽やブラス向け編曲、伝統的なジャズ・レパートリーなど、多様な場で継続的に演奏されており、記念式典や追悼の場でも選ばれることがあります。シンプルで覚えやすい旋律線、言葉の普遍性、時代背景の重みが三位一体となり、現在でも教育・研究・実演の各領域で参照され続けています。
まとめ
Roses of Picardyは、戦時下の切実な愛情を描いた英国発の名曲です。1916年の誕生以来、歌と器楽の両面で広く愛され、世紀を越えて演奏されてきました。バラが象徴する普遍的な希望と記憶は、現代の聴衆にもなお強い共感を呼び起こします。