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Walkin' My Baby Back Home

  • 作曲: AHLERT FRED E,TURK ROY
#スタンダードジャズ
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Walkin' My Baby Back Home - 楽譜サンプル

Walkin' My Baby Back Home|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Walkin' My Baby Back Home」は、Fred E. Ahlert(作曲)とRoy Turk(作詞)による1930年発表のポピュラー/ジャズ・スタンダード。恋人を家まで送り届ける帰り道の甘やかな情景を、軽やかなユーモアと都会的なロマンで描く歌ものとして広く親しまれている。初演・初録音の厳密なクレジットは情報不明だが、発表当時からダンスバンドやポップ・ヴォーカルのレパートリーとして演奏され、その後ジャズの定番曲へと定着した。版権や初出媒体の詳細も情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポはミディアム寄りで、タイトルどおり“歩く速さ”の心地よいスウィング感が要。32小節のAABA形式で演奏されることが多く、親しみやすい旋律線と明快なハーモニー進行が即興にも歌唱にも適している。ヴォーカル版では言葉のリズムを活かしつつ、ブリッジで程よく和声に動きを持たせることで、物語に起伏が生まれる。ジャズ演奏では2ビートから4ビートへ推進するリズムの切り替え、トランペットやサックスによるコール&レスポンス、ピアノのコンピングを絡めた小粋なスキャットやライトなアドリブが好相性。キー設定やイントロは編曲者によって幅があるが、いずれも軽快さと親密さのバランスが肝要である。

歴史的背景

本作はティン・パン・アレー最盛期に生まれた都会派のラヴ・ソング。1930年代のダンスホール文化と無理なく接続し、戦後もアメリカン・ソングブックの再評価とともに再び脚光を浴びた。恋愛を過度にドラマ化せず、帰路の何気ない仕草や街の灯りを愛でる視点は、当時のポピュラー音楽における洗練の一端を示す。1950年代にはクロスオーバー的にジャズ、ポップ双方から取り上げられ、スタンダードとしての地位を固めた。

有名な演奏・録音

特に知られるのはNat King Coleによる洗練されたヴォーカル・ヴァージョン(1950年代前半)。その柔らかなスウィングと発音の美しさは、後続の歌手やジャズ・プレイヤーに指標を与えた。またJohnnie Rayも1952年にヒットを記録し、曲の知名度を押し上げた。さらに、1953年の映画『Walking My Baby Back Home』でも題名曲として扱われ、一般層への浸透に寄与している。これら以外の初期の代表的録音やチャート順位の詳細は情報不明。

現代における評価と影響

現在もヴォーカル・ジャズの定番としてライブやレッスンで頻繁に取り上げられる。過度な技巧を求めず、ことば運びとタイム感、伴奏との会話で魅力が増すため、アレンジの幅が広いのも強み。広告や番組のBGMとしても“心地よいレトロ感”を演出する素材として適しており、配信時代においても新録カバーが継続的に生まれている。スタンダード入門曲としても評価が高く、リスナー・演奏者双方にとって長く色褪せない価値を保っている。

まとめ

歩く速さのスウィングに寄り添うメロディと親密な語り口が魅力の「Walkin' My Baby Back Home」。1930年の誕生から今日まで、ポップとジャズをつなぐ代表的スタンダードとして愛され続けている。名演に触れつつ、自身のテンポ感と表情を探る楽しみが尽きない一曲だ。