There Ain't No Sweet Man That's Worth The Salt Of My Tears
- 作曲: FISHER FRED

There Ain't No Sweet Man That's Worth The Salt Of My Tears - 楽譜サンプル
There Ain't No Sweet Man That's Worth The Salt Of My Tears|楽曲の特徴と歴史
基本情報
作曲はFISHER FRED。作詞者および初出年は情報不明。本曲は歌詞付きのジャズ・スタンダードとして親しまれ、英語の題名が示す通り、失恋相手に涙を費やす価値はないと断じる強いメッセージが核にある。編成やキー、形式は録音により多様で、ヴォーカル曲としても器楽的アレンジでも演奏される。
音楽的特徴と演奏スタイル
ビターでキャッチーな主題を軸に、コール&レスポンスやブレイクを活かしたアレンジが映える。テンポはミディアム前後が多く、二拍目四拍目を強調するスウィング・フィールで、ヴォーカルは語り口のアクセントと切れ味あるパンチラインが鍵。管楽器のソロはブルージーなフレージングが相性良く、リズム・セクションは軽快なウォーキングやストンプ系のグルーヴで支えることが多い。
歴史的背景
ティン・パン・アレーの系譜に連なるポピュラー音楽と、ダンス・バンド〜初期スウィングの現場で育まれたジャズ語法が交差する時代に生まれた楽曲。作曲家フレッド・フィッシャーはシカゴやパーラー・ソングでも知られ、本曲にも当時のショウビジネス的な洗練と、庶民的なウィットが共存している。具体的な初演情報は情報不明。
有名な演奏・録音
古典的名演としてしばしば言及されるのが、ポール・ホワイトマン楽団による録音で、ブラスの華やかなサウンドとコルネットの存在感が印象的。女性ジャズ・シンガーによる録音も複数残り、スウィング以前の味わいを伝える。近年ではダイアナ・クラールがアルバム『Glad Rag Doll』で取り上げ、古典曲の魅力を現代的なサウンドで再提示したことが話題となった。映画での使用は情報不明。
現代における評価と影響
現在もトラディショナル寄りのセッションやスウィング・ダンスのイベントで取り上げられる機会があり、歌詞の毅然としたメッセージ性はジェンダーを問わず共感を呼ぶ。アレンジの自由度が高く、ホーン主体のホット・ジャズからギター中心の小編成まで適応可能で、教育現場でも1920年代的語法を学ぶ教材として扱われることがある。
まとめ
辛口のユーモアと胸のすくカタルシスを併せ持つ本曲は、時代を超えて演奏者と聴き手を惹きつける。基本情報に未詳点はあるものの、ジャズ史の文脈で重要な位置を占め続ける一曲と言える。