Billy Preston
With You I’m Born Again
- 作曲: SHIRE DAVID LEE,CONNORS CAROL

With You I’m Born Again - 楽譜サンプル
With You I’m Born Again|歌詞の意味と歴史
基本情報
With You I’m Born Againは、作曲デヴィッド・リー・シャイア、作詞キャロル・コナーズによるバラード。1979年公開の映画Fast Breakの挿入歌として制作され、ビリー・プレストンとシリータ(Syreeta)によるデュエットで広く知られるようになった。1979年にシングルとして発表され、映画サウンドトラックにも収録。温かいストリングスとピアノを軸に、柔らかなボーカルが寄り添う構成が特徴で、後年まで愛されるラブソングの定番となった。
歌詞のテーマと意味
タイトルにある“Born Again(新たに生まれ変わる)”は、恋人と出会うことで内面的な再生と救いが訪れる感覚を象徴する。宗教的語彙を想起させる表現も見られるが、特定の教義に限定せず、愛が人を再び立ち上がらせる普遍的な体験として描くのが核心だ。孤独や喪失感から救い上げられ、自己肯定を取り戻すプロセスが、簡潔で親密な言葉選びと静かな旋律により強調される。全体として、過剰なドラマではなく、静謐な肯定感で聴き手の記憶に残る。
歴史的背景
1970年代末の映画音楽とポップスの接近は、サウンドトラック発のヒットを数多く生んだ。本作もその流れに置かれ、映画の文脈を超えて単独のラブバラードとして支持を獲得。シンプルなハーモニー運びとオーケストレーションは、ディスコ以後の落ち着いたアダルト・コンテンポラリー志向と相性が良く、ラジオでの回転も伸びた。結果として、映画から巣立ち、独立した“スタンダード化”への道を歩むことになる。
有名な演奏・映画での使用
最もよく知られるのはビリー・プレストン&シリータのオリジナル・デュエットで、映画Fast Breakでも重要なラブテーマとして用いられた。シンプルな旋律と歌詞の普遍性から、ポップスやジャズ寄りのアレンジで多くの歌手・演奏家に取り上げられている。冠婚葬祭やセレモニー向けのレパートリーとして選ばれることもあり、時代や国境を越えて歌い継がれている点が本曲の強みだ。個別の演奏者名は情報不明。
現代における評価と影響
本曲は“静かに心を満たす”ラブソングの代表例として評価され、プレイリストや映像の挿入曲として継続的に利用される。過度な技巧に頼らず、メロディと語り口で情感を伝える設計は、シンガーにとって解釈の余地が大きく、カバーが絶えない理由にもなっている。映画発のポップ・バラードが長命なスタンダードへと変貌しうることを示すケーススタディとしても、音楽史的に価値が高い。
まとめ
With You I’m Born Againは、映画Fast Breakを起点に誕生し、デュエットの親密な響きと“再生”のメッセージで普遍的な支持を獲得した。作曲デヴィッド・シャイアと作詞キャロル・コナーズの職人的な手腕が、簡素な構造に豊かな情緒を宿らせている。時代を超え、人生の節目や静かな語らいの瞬間に寄り添う名バラードとして、今なお選ばれ続ける一曲だ。