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Wabash Blues

  • 作曲: MEINKEN FRED,RINGLE DAVE
#ジプシージャズ
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Wabash Blues - 楽譜サンプル

Wabash Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Wabash Bluesは、作曲フレッド・マインケン(Fred Meinken)、作詞デイヴ・リングル(Dave Ringle)による1920年代初頭の楽曲。発表年は一般に1921年とされ、ダンス・バンドのレパートリーとして広く演奏され、ジャズ・スタンダードとして定着した。タイトル「Wabash」の語源は情報不明だが、曲自体は歌詞版が存在しつつも、器楽演奏で親しまれる機会が多いのが特徴。ジャンルはジャズ/ブルース寄りで、当時のダンス音楽(フォックストロット)の文脈でも演奏された。楽曲構成の細部(正式な形式・主要調性・初版出版社など)は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

中速からややゆったりとした4拍子で、ブルース由来のフレーズやブルーノートを随所に含むメロディが魅力。管楽器のユニゾンやコール&レスポンス、クラリネットやサックスのリード、ミュート・トランペットによる色彩的なソロが好相性で、初期ジャズ〜スウィング前夜の響きを体現する。アレンジにより形式は変化しやすく、バンドの規模や編成によってイントロ/間奏/エンディングの作りも多様。歌唱版ではレイドバックしたフレージングが映える一方、インストでの即興コーラスを重ねる演奏も一般的。標準キーや定型フォームは録音により異なるため情報不明。

歴史的背景

第一次世界大戦後、全米でダンス・バンド文化が隆盛した1920年代初頭に登場。多くの楽団が新曲をレパートリー化する中で、Wabash Bluesはメロディの親しみやすさと踊りやすいグルーヴによって支持を集めた。レコード産業の拡大と無線放送の普及が重なった時期で、同曲も録音・放送を通じて広く知名度を獲得。こうした時代背景が、同曲をジャズ・スタンダードとして長く残す土壌となった。

有名な演奏・録音

Isham Jones and His Orchestraによる1921年の録音が大ヒットし、同曲普及の決定打となったことが広く知られている。その後も多くのダンス・バンドやトラディショナル・ジャズ系の楽団がレパートリーに採用し、時代ごとにテンポ感やアドリブの語彙を更新しながら受け継がれてきた。個別のディスコグラフィーの網羅情報は情報不明だが、初期ジャズ〜スウィングの歴史的録音を辿る上で、要所に登場する定番曲の一つである。映画やテレビでの明確な使用情報は情報不明。

現代における評価と影響

今日では、トラディショナル・ジャズやアーリー・スウィングのセットで取り上げられる機会が多く、教育目的のビッグバンド/コンボ用アレンジにも適している。ブルースの語法を軸にしたメロディと踊れるビートは、クラブ・イベントやリンディホップ系のダンス・シーンでも機能しやすい。歴史的文脈を感じさせつつ、アドリブやサウンド設計の自由度が高い点が、現代の演奏家にも評価される理由だ。

まとめ

Wabash Bluesは、歌詞版が存在しながらもインスト演奏で特に愛されてきた初期ジャズの定番。1921年のヒットを起点に広く普及し、ブルース・フレーズを核としたシンプルで温かい骨格が長寿命の魅力を支えている。歴史を学ぶ入門曲としても、気負わず楽しめるダンス・チューンとしても重宝される、時代を超えるスタンダードである。