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Wang Wang Blues

  • 作曲: MUELLER GUS,BUSSE HENRY,JOHNSON BUSTER
#ジプシージャズ
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Wang Wang Blues - 楽譜サンプル

Wang Wang Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Wang Wang Bluesは、Gus Mueller、Henry Busse、Buster Johnsonの共作によるジャズ曲。初出は1920年代初頭で、ダンス・バンド時代のレパートリーとして広く知られる。編成はブラスとリードを中心に、バンジョーやチューバ(後にベース)、ドラムを加えた初期ビッグバンド/ダンスバンドのスタイルに適合し、主にインストゥルメンタルとして演奏される。曲名が示唆する通り、ミュート・トランペットの“ワウワウ”と呼ばれる音色が象徴的で、ジャズ・スタンダードとして現在まで受け継がれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は12小節ブルースを核に、アンサンブルとソロ・コーラスが交互に展開する初期ジャズの典型。テンポは中庸のフォックストロット寄りが基準で、2ビートの推進力に乗る。最大のキャラクターは、プランジャー・ミュートなどを用いたトランペットの“ワウワウ”効果で、コール&レスポンスやストップタイム、短いブレイクを折り込みつつ、クラリネットの流麗なフィルやトロンボーンのグリッサンドが対話的に絡む。後年の演奏では4ビート寄りに再解釈されることもあり、アレンジの自由度が高いのも魅力だ。

歴史的背景

1920年代初頭のアメリカで、ダンスホール文化と新興のレコード産業が結びついた時期に広まった。共作者のHenry BusseやGus Muellerは当時の有力ダンス・バンドに関わり、アンサンブル重視の書法とニューオーリンズ由来の即興語法が交差する環境から生まれた楽曲である。Wang Wang Bluesは、いわゆるスウィング以前のスタイルを代表する1曲として位置づけられ、のちのビッグバンド隆盛へと続く橋渡し的な役割を果たした。

有名な演奏・録音

1920年代にオーケストラ編成で録音され、広く知られるようになった。その録音は“ワウワウ”トランペットの魅力を前面に出し、以降の演奏解釈の雛形となる。以後、伝統派ジャズやスウィング系のバンドで継続的に取り上げられ、時代ごとの音響やリズム感に合わせてテンポやフィーリングが更新されてきた。特定の映画での使用や個別のバージョンの詳細は情報不明だが、ステージやクラブでの定番レパートリーとして根強い人気を保っている。

現代における評価と影響

Wang Wang Bluesは、ミュート・トランペットの表情付け、12小節ブルースでの即興展開、アレンジとソロの配分など、初期ジャズの文法を学ぶうえで格好の教材とされる。アドリブはシンプルなモチーフ・デベロップメントで成立しやすく、アンサンブルは声部の受け渡しが明確なため、コンボからビッグバンドまで適応可能。結果として教育現場やステージで演奏され続け、初期ジャズのサウンドを現代に伝える役割を担っている。

まとめ

Wang Wang Bluesは、1920年代のダンス・バンド文化から生まれたインストゥルメンタルのジャズ・スタンダードであり、ミュート・トランペットの“ワウワウ”効果と12小節ブルースの明快さで永続的な魅力を放つ。歴史的な価値と実用的な演奏素材としての側面を併せ持ち、今日も多様な編成で親しまれている。