Willie the Weeper
- 作曲: MELROSE WALTER,BLOOM MARTY,RYMAL GRANT V
Willie the Weeper - 楽譜サンプル
Willie the Weeper｜楽曲の特徴と歴史
基本情報
Willie the Weeperは、20世紀初頭のアメリカで生まれたジャズ・スタンダード。クレジットにはMELROSE WALTER, BLOOM MARTY, RYMAL GRANT Vの名が記される。歌詞付きの楽曲として知られるが、ニューオーリンズ/シカゴ系の伝統に則りインストゥルメンタルでも頻繁に演奏される。初出年や初演者は情報不明。物語性のある歌詞が複数系統の録音で伝わり、初期ジャズの定番レパートリーとして定着した。
音楽的特徴と演奏スタイル
中庸テンポの2ビート〜4ビートに乗せ、シンプルな循環コード上でホーンのユニゾンとコール＆レスポンス、短いブレイクを交えた即興が展開するのが典型。テーマは耳に残る旋律線で、クラリネットやコルネットの装飾的アドリブに適する。ヴォーカル版では各コーラスごとに歌詞のヴァースが差し込まれることがあり、バンドの編成や地域の慣習により構成は録音ごとに異なる。フォームや調性の標準形は情報不明だが、アンサンブル重視の古典的語法が核となる。
歴史的背景
本曲が広まったのは禁酒法期からスウィング前夜にかけての時期で、ダンスホールやヴォードヴィル、ジャズ・クラブの往来の中で普及した。Walter Melroseはシカゴの音楽出版で知られ、クレジットに名を連ねる点から当時の出版ネットワークに関与していたことがうかがえる。出版年や初出媒体は情報不明だが、1920年代後半のバンドで広く演奏された事実は複数のディスコグラフィで確認可能。歌詞は演者により差異があり、土地や興行形態に応じてテキストが変容してきた。
有名な演奏・録音
Louis Armstrong and His Hot Sevenによる録音は、本曲の代表的解釈としてしばしば参照される。コルネット（またはトランペット）、トロンボーン、クラリネットの三管が活躍する小編成での演奏が定番で、各パートがコーラスごとに主導権を交替しながら進む解釈が多い。ほかにもトラディショナル・ジャズ系バンドの多数の録音が存在するが、網羅的な一覧や各録音の詳細年代は情報不明。映画やテレビでの顕著な使用例についても情報不明である。
現代における評価と影響
現在でもディキシーランド/トラッド系のライヴで取り上げられ、初期ジャズのアンサンブル運びやブレイク、コール＆レスポンスを学ぶ教材曲として重宝される。歌詞を伴う演目でありながら器楽曲としても映えるため、会場規模や編成人数に応じた柔軟なアレンジが可能。後続曲への直接的影響関係は情報不明だが、1920年代の歌物ジャズの物語性と即興の共存を体現する重要曲として評価が続いている。
まとめ
Willie the Weeperは、歌とアドリブの双方で魅力を発揮する初期ジャズの定番曲。詳細な来歴に情報不明な点はあるものの、名手たちの録音を通じて今日まで受け継がれ、トラッド・ジャズの現場でも生命力を保ち続けている。ヴィンテージ・ジャズの魅力を知る入口として、録音比較や編成違いの聴き比べにも適した1曲である。