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Winin' Boy Blues

  • 作曲: MORTON JELLY ROLL,MORTON FERDINAND JOSEPH
#ジプシージャズ
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Winin' Boy Blues - 楽譜サンプル

Winin' Boy Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Jelly Roll Morton(本名Ferdinand Joseph Morton)による「Winin' Boy Blues」は、歌詞付きのブルース/ジャズ・ナンバー。作曲者表記はMORTON JELLY ROLL, MORTON FERDINAND JOSEPH。初出年は情報不明だが、作曲者本人のピアノ弾き語りを含む録音が複数残り、1938年の米国議会図書館セッションでの演奏記録がよく知られる。ニューオーリンズ由来の語り口とユーモアが核となり、後年まで伝承される定番曲として位置づけられている。

音楽的特徴と演奏スタイル

基本的には12小節ブルースを土台に、ミディアム〜スローのテンポで歌とピアノ(または小編成コンボ)が絡む。ピアノではストライド寄りの左手と、リフや装飾を交える右手が対話し、歌とのコール&レスポンスを作るのが要。ニューオーリンズのトラディショナル編成では、トランペット、トロンボーン、クラリネットの集団即興が主旋律を彩り、シンプルな和声進行に微妙なタイムの揺れとスウィング感を与える。艶笑とウィットを伴うボーカルの語り口も、この曲の魅力を支える重要な要素である。

歴史的背景

モートンはラグタイムから初期ジャズへの橋渡しを担い、ブルースに洗練を与えた人物として評価される。「Winin' Boy Blues」は、歓楽街文化や口承の歌を背景に生まれたキャラクター性の強い楽曲で、ジャズがダンス音楽かつ大衆娯楽であった時代の空気を伝える。制作年は情報不明だが、1930年代後半の資料(米国議会図書館セッション)に既に登場しており、初期ジャズの語り芸と即興性を示す代表的レパートリーとして受け継がれてきた。

有名な演奏・録音

作曲者本人による演奏は、1938年の米国議会図書館セッションでのピアノ弾き語りが代表例として広く参照される。商業録音の詳細は情報不明だが、同曲の音源は歴史資料や復刻盤を通じて流通している。近年では俳優・ミュージシャンのHugh Laurieがアルバム「Let Them Talk」(2011)でカバーし、伝統的なブルース解釈を現代へと接続した。伝統的ジャズの現場でもセッション定番曲として取り上げられる。

現代における評価と影響

初期ジャズとブルースの接点を学べる教材的な曲として、ピアニストやトラッド系バンドに継承されている。歌詞は洒脱で時に艶っぽく、演者の語り芸と間合いで魅力が大きく変わるため、解釈の自由度が高い点も人気の理由。ジャズ史の文脈では、ニューオーリンズ流のリズム感と集団即興、物語性を併せ持つレパートリーとして位置づけられ、今日までライブやセッションの場で息長く演奏され続けている。

まとめ

「Winin' Boy Blues」は、歌とピアノ(または小編成)が織りなす12小節ブルースを核に、初期ジャズのエッセンスを凝縮した一曲。正確な初出年は情報不明ながら、モートン自身の記録的演奏を通じてスタンダード化し、現在も多様な解釈で生き続ける。ニューオーリンズの語り芸とユーモア、スウィングの核心を体験できる定番として聴き継がれている。