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West Coast Blues
- 作曲: MONTGOMERY WES

West Coast Blues - 楽譜サンプル
West Coast Blues|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「West Coast Blues」は、ギタリスト、ウェス・モンゴメリー作曲のジャズ・ブルース。初出は1960年、Riversideからリリースされた名盤「The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery」に収録されたオリジナル録音で、プロデューサーはオリン・キープニュース。形式は12小節ブルースで、歌詞は付されておらずインストゥルメンタルとして知られる。現在ではジャズ・ギターの主要レパートリーとして広く演奏される。
音楽的特徴と演奏スタイル
中庸のテンポに揺れる12/8フィールを伴うブルースが大枠。主題はブロックコードと単音を織り交ぜ、終止ではセカンダリードミナントやトライトーン置換を用いた洗練されたターンアラウンドが現れる。モンゴメリー特有のオクターブ奏法やコード・ソロは象徴的で、ソロではメジャー/マイナーの3度を行き来するブルース語彙と、ドミナントのアルタード/ディミニッシュ系アルペジオを併用すると効果的。リズム・セクションはスウィング感を保ちつつ、6/8と4分系の跨りを生かした推進力を作る。
歴史的背景
録音当時の1960年は、ハード・バップからポスト・バップへと語法が拡張した時期で、ギターは独自の即興語彙を確立しつつあった。モンゴメリーはオクターブ奏法と歌心で評価を高め、本曲はそのスタイルを端的に示す代表作の一つとなった。タイトルの由来や具体的な命名意図は情報不明だが、作品自体は地域的流派に限定されない普遍的なジャズ・ブルースとして受容されている。
有名な演奏・録音
最初の決定的テイクは、ウェス・モンゴメリー(g)、トミー・フラナガン(p)、パーシー・ヒース(b)、アルバート“トゥーティ”ヒース(ds)による1960年のスタジオ録音。以降、多数のコンボやギタリストが取り上げ、ライブとスタジオの定番曲となった。特定の代表盤の網羅は情報不明だが、教育現場やジャム・セッションのレパートリーとして広く演奏例が蓄積している。
現代における評価と影響
今日ではジャズ標準曲集でも高い頻度で扱われ、ギタリストに限らず管楽器奏者にも親しまれる。12/8の揺れと12小節フォームの組み合わせは、ブルース語法の拡張練習やリズム・インナーパルスの強化に最適とされ、教材やレッスンでも定着。配信プラットフォームでも数多くの録音が聴け、演奏比較を通じてフレージングや音色設計の研究対象となっている。
まとめ
「West Coast Blues」は、シンプルな枠組みに洗練された和声と躍動するフィールを融合させたジャズ・スタンダード。オリジナル録音に触れつつ、フォーム、ターンアラウンド、オクターブ奏法の要点を押さえれば、実践と鑑賞の双方で魅力が際立つ。初学者の入門曲としても、中上級者の表現深化の題材としても有用である。