あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

Two Kites

  • 作曲: JOBIM ANTONIO CARLOS
#ボサノバ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Two Kites - 楽譜サンプル

Two Kites|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Two Kites は、ブラジルの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビン(JOBIM ANTONIO CARLOS)による楽曲。ボサノバの語法を土台にしながら、ジャズの洗練を湛えた一曲として知られる。歌詞付きの版が存在するとされるが、正式な作詞者名や初出年は情報不明。英語詞で歌われる例が報告される一方、インストゥルメンタルでも取り上げられ、ジャズ/ボサノバ双方の現場で演奏されることがある。タイトルが示す凧のイメージは、軽やかで浮遊感のあるサウンド・キャラクターとも親和性が高い。

音楽的特徴と演奏スタイル

ジョビンに特有の拡張和声(メジャー7th、9th、13thなど)と繊細な転調感が核にあり、ボサノバのシンコペーションを滑らかなメロディで束ねる設計が想定される。中庸からややアップテンポのボサノバ・フィールで演奏されることが多く、ギターとピアノが和声の要となる。メロディは跳躍と滑走を交錯させ、タイトルが喚起する“空に舞う”運動性を音で描くかのよう。リズム隊はドラマーがブラシや軽快なスティックを用い、ベースは2フィーリングからウォーキングに移行してジャズ的推進力を付与する解釈も行われる。ボーカル版では、言葉のアクセントを損なわないフレージングが表現の肝となる。

歴史的背景

ジョビンは1950年代末から60年代にかけてボサノバを世界へ広め、その後も70年代以降に洗練を深めた書法で多くの曲を残した。Two Kites の具体的な作曲年や初出アルバムは情報不明だが、晩年期の作風に見られる室内楽的な響きや、ジャズ標準曲の語彙とボサノバのリズム処理を融合する美学に通じる一面が指摘される。国際的な音楽交流が進むなかで、同曲もまたボサノバとジャズの“共通言語”として扱われてきた。

有名な演奏・録音

アントニオ・カルロス・ジョビン本人による自作自演の録音が参照点となる一方、ピアノ・トリオやギター・デュオなど編成を変えたインスト版、英語詞を用いたボーカル版など、多様なアプローチが存在することが報告される。特定のアルバム名や年次は情報不明だが、スタジオ録音だけでなく、ジャズ・クラブやコンサートでのライブ演奏においても取り上げられ、アドリブ・コーラスで和声の行き来を楽しむレパートリーとして機能している。

現代における評価と影響

Two Kites は、一般的な大ヒット曲ほどの知名度ではないものの、ミュージシャンからの信頼は厚い。旋律の流麗さと和声の洗練が即興表現の余地を広げ、教育現場でもボサノバとジャズ語法の接点を学ぶ教材として活用されることがある。歌詞付きとインストの二面性は、歌手・器楽奏者の双方に開かれた柔軟性を提供し、セットリストの色彩を変える“気流”のような役割を果たしている。配信時代においても、プレイリストでの回遊性と文脈適応力を備えた楽曲として評価が続く。

まとめ

ジョビン作曲の Two Kites は、ボサノバの呼吸とジャズの和声感を軽やかに結ぶ楽曲であり、歌とインストの両面で魅力を放つ。作詞者や初出年など一部は情報不明だが、演奏現場で培われた評価が作品の価値を裏打ちしている。凧のイメージに通じる浮遊感、精妙なハーモニー、柔軟な編成適応力という三点が、本曲を長く演奏に耐える“現場の標準曲”たらしめている。