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Witch Hunt

  • 作曲: SHORTER WAYNE
#コンテンポラリー
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Witch Hunt - 楽譜サンプル

Witch Hunt|楽曲の特徴と歴史

基本情報

ウェイン・ショーター作曲の「Witch Hunt」は、ブルーノートの『Speak No Evil』に初収録されたインストゥルメンタル。録音は1964年12月24日、発売は1966年。編成はショーター(テナー・サックス)、フレディ・ハバード(トランペット)、ハービー・ハンコック(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)。歌詞はなく、器楽曲として演奏される。

音楽的特徴と演奏スタイル

中庸のスウィング・テンポで、2管のユニゾンとハーモニーが交錯する印象的なテーマを持つ。明快なトニックに回収しきらない和声運び、短い動機の反復と転調感の揺らぎがショーター流。テーマ後は各ソリストがモーダルな発想と機能和声的ラインを行き来し、ピアノの疎密あるコンピングとエルヴィンのポリリズミックなドライヴが立体感を生む。録音ならではのバランス感も含め、アンサンブル設計の巧みさが光る。

歴史的背景

本作はショーターがブルーノートで創作の頂点にあった時期の代表曲。1964年にマイルス・デイヴィスのクインテットへ加入し、同年末に本セッションを敢行。ハードバップからポスト・バップへ移行する潮流の中で、彼はソロの妙技のみならず、バンド全体の響きを前提にした作曲・配置を提示し、60年代ジャズの新しい方向性を明確にした。

有名な演奏・録音

決定的な演奏は初出盤『Speak No Evil』のテイクで、2管のブレンドとリズム・セクションの推進力が秀逸。以後、多くのコンボがレパートリーに取り上げ、クラブやジャム・セッションでも頻繁に演奏される。小編成のストレートアヘッドからビッグバンドまで、幅広いアレンジが存在し、環境や編成に応じた多彩な解釈が生まれている。

現代における評価と影響

「Witch Hunt」はショーター作品の中でも演奏頻度の高い定番曲として認知され、教育現場やプロの現場で広く扱われる。曖昧さを孕む和声と凝縮された旋律は、ソリストの創造性を刺激すると同時に、編曲の自由度も高い。こうした特性は後続の作編曲家に示唆を与え、現代ジャズの語法形成に寄与したと評価されている。

まとめ

二管編成の妙味、独創的ハーモニー、しなやかなスウィングが結晶した「Witch Hunt」は、時代を越えて演奏者と聴き手を惹きつけるジャズ・スタンダードだ。まずは初演盤から聴けば、この曲の核心に最短距離で触れられる。そこから多様なカバーへ広げることで、曲の普遍性と懐の深さがさらに実感できるだろう。