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You're Everything

  • 作曲: COREA CHICK,POTTER NEVILLE
#スタンダードジャズ
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You're Everything - 楽譜サンプル

You're Everything|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「You're Everything」は、チック・コリア(作曲)とネヴィル・ポッター(作詞)によるボーカル曲。Return to Foreverが発表したアルバム「Light as a Feather」(1973年)に収録され、フローラ・プリム(Vo)、チック・コリア(Key)、ジョー・ファレル(Sax/Fl)、スタンリー・クラーク(B)、アイアート・モレイラ(Ds/Per)という編成で録音された。英語詞の作品だが、歌詞の詳細なテーマは情報不明。ジャズのハーモニーにブラジル系のリズム感が重なり、初期RTFの空気感を色濃く伝える一曲として知られる。

音楽的特徴と演奏スタイル

電気的な音色のエレクトリック・ピアノを中心に、柔らかなラテン志向のグルーヴが全体を支えるのが本曲の特徴。旋律は流麗で、ボーカルのレガートなフレージングが映える一方、ジャズ特有の拡張和音が豊かな陰影を生む。インタールードやソロ部分には即興の余地が確保され、歌と器楽が対話する構図が際立つ。過度に速くないテンポ設定により、歌詞のニュアンス(内容は情報不明)とハーモニーの移ろいが丁寧に提示され、聴感上の親密さと洗練が両立している。

歴史的背景

1970年代初頭のチック・コリアは、ブラジル音楽の感性を取り入れたReturn to Foreverで新機軸を打ち出していた。ネヴィル・ポッターは同時期にコリア作品の英語詞を手がけ、本曲もそのコラボレーションの成果に位置づけられる。エレクトリック・ピアノの導入、サンバ/ボサ・ノヴァの色彩、歌の存在感という要素が重なり、当時のフュージョン/ラテン・ジャズ潮流の中で独自の抒情を獲得した。

有名な演奏・録音

評価の基準点となるのは、Return to Forever「Light as a Feather」(1973年)収録のオリジナル録音である。フローラ・プリムの透明感ある歌声と、コリアのエレクトリック・ピアノが生む浮遊感は、楽曲の魅力を決定づけた重要な要素だ。その他の著名なカバーや映画での使用については情報不明。現在は各種配信や再発で同録音にアクセスでき、初出テイクが事実上のリファレンスとして広く参照されている。

現代における評価と影響

「You're Everything」は、チック・コリアの作曲家としての歌心と、初期RTFに特有のラテン/ジャズ融合美学を端的に示す一曲として受け止められている。即興の自由度とメロディの親しみやすさが両立しており、コリアの多面的な音楽観を知る手がかりとなる楽曲だ。2021年のコリア逝去以降もカタログ再評価が進む中で、本曲はボーカル期RTFの代表的楽曲として聴かれ続けている。

まとめ

チック・コリア作曲、ネヴィル・ポッター作詞の「You're Everything」は、ラテンの躍動とジャズの調和感、そして歌の抒情が結びついた佳曲である。決定版は「Light as a Feather」収録のオリジナル音源。歌詞の詳細は情報不明ながら、演奏美学とサウンド・デザインにおいて、コリアの創造性とReturn to Foreverの個性を鮮明に刻む一曲と言える。