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Ma L'amore No

  • 作曲: D'ANZI GIOVANNI
#カンツォーネ
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Ma L'amore No - 楽譜サンプル

Ma L'amore No|歌詞の意味と歴史

基本情報

Ma L'amore No はイタリアの作曲家ジョヴァンニ・ダンツィ(Giovanni D’Anzi)が手がけ、作詞はミケーレ・ガルディエーリ。1942年に発表されたカンツォーネで、戦時下のイタリアで広く親しまれた。タイトルが示す「しかし、愛だけは違う」という逆説的な言い回しが印象的で、都会的な旋律とともに当時の大衆文化を象徴する一曲として知られている。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、季節や流行、人の心は変わりゆく一方で、真実の愛は変わらないという対比を軸に展開する。反語的に「でも、愛だけは否」と締める構造が核となり、儚さを見つめながらも不変を信じる静かな希望を描く。劇的な高揚よりも、上品で控えめなニュアンスで感情を伝える点が特徴で、日常に寄り添う親密さが多くの聴き手を惹きつけてきた。

歴史的背景

第二次世界大戦期のイタリアでは、映画とラジオが大衆娯楽の中心だった。本曲はその回路を通じて社会全体に浸透し、緊張の続く時代にあって心を慰める歌として受容された。洗練されたメロディと穏やかなテンポは、同時代のダンスホール文化とも親和性が高く、陰影のあるロマンティシズムがモダン志向の聴衆にも響いた。

有名な演奏・映画での使用

楽曲は映画『Stasera niente di nuovo』(1942)で用いられ、公開をきっかけに知名度を大きく高めた。その後、数多くの歌手が録音を残し、ラジオ番組やステージの定番曲として長く演奏されている。特定の代表録音やチャート情報は情報不明だが、世代を超えて歌い継がれるレパートリーとして定着している点は確かである。

現代における評価と影響

今日では、戦前・戦中期イタリアのポップ・スタンダードを象徴する一曲として再評価が進む。ヴィンテージ音源の復刻やコンピレーションで頻繁に取り上げられ、カンツォーネの歌唱美学や言葉運びを学ぶ教材曲としても注目される。構成は端正で、旋律線の美しさと歌詞のレトリックが高い完成度で結びついていることが評価の核心にある。

まとめ

Ma L'amore No は、移ろいと不変を対置しながら愛の核心を見つめる、イタリア大衆歌の古典。戦時下に生まれた背景と普遍的メッセージが響き合い、発表から80年余を経てもなお、気品ある旋律と語り口で聴き手の心をつかみ続けている。