あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

Vedrai vedrai

  • 作曲: TENCO LUIGI
#カンツォーネ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Vedrai vedrai - 楽譜サンプル

Vedrai vedrai|歌詞の意味と歴史

基本情報

Luigi Tenco(ルイジ・テンコ)が作詞作曲したイタリア語のカンツォーネ。一般表記は「Vedrai, vedrai」とカンマを含む。親密な語り口と簡潔なメロディで、カンタウトーレ系の代表的レパートリーとして知られる。録音や初出形態には複数のバージョンが伝わるが、発表年や初出アルバムの詳細は情報不明。本記事では作品の核心にある言葉と音の関係、歴史的文脈、後年の広がりを俯瞰する。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“Vedrai, vedrai(きっと、きっと)”は相手を慰める反復句で、主人公が自責と希望のあいだで揺れる内面を告白する。経済的・精神的な行き詰まりを抱えつつ、それでも状況を変えたいという意思を、私語りと平易な語彙で丁寧に積み重ねるのが特徴。甘さよりも素朴な悔恨が前面に出ており、愛の約束が楽観ではなく「これから改善してみせる」という決意として響く。旋律も過度に装飾せず、語りのリズムを生かすことで、言葉の重みと余白を際立たせている。歌詞の全文はここでは割愛する。

歴史的背景

1960年代のイタリアでは、シンガーソングライター=カンタウトーレの表現が台頭し、日常と言葉のリアリズムが重視された。テンコはその核心にいた存在で、鮮烈なメロディと誠実な言葉で若者の不安と希望を描いた。サンレモ音楽祭と大衆歌謡の文脈にありながら、内省的で社会的ニュアンスも含む作風は同時代のポップと一線を画す。1967年の出来事以降、彼の作品群は象徴的意味を帯び、当曲も一層強い共感をもって受け止められるようになった。初出年やチャート成績は情報不明。

有名な演奏・映画での使用

本作はイタリア国内外でたびたびカバーされ、シンプルな伴奏編成からオーケストラまで多様な解釈が行われてきた。具体的な代表カバー名義や映画での使用事例は情報不明だが、テレビ番組やコンサートでの再演機会が多く、カンタウトーレ系の重要レパートリーとして定着している。歌唱者の声質やテンポ設定により、慰撫・懺悔・決意といった感情の重心が大きく変化する点も、カバーの魅力となっている。

現代における評価と影響

説得力のある一人称と控えめな旋律進行は、後続のカンタウトーレや日本を含む各国のシンガーソングライターの作法にも通じる。過度な修飾を避け、感情の核心だけを提示する書法は今日のインディー・ポップや弾き語り系の美学とも接続し、教材として発音・フレージングの研究対象になることも多い。歌詞が置かれた小さな生活圏のリアリティは、時代が変わっても普遍性を保ち、ストリーミング時代においても新規リスナーを着実に獲得している。

まとめ

Vedrai vedraiは、約束と自己変革の意思を静かな強度で描いたテンコの代表作。詳細データに一部情報不明はあるものの、言葉と旋律の親密な結びつきが世代を超えて響き続ける。過度にドラマチックでないからこそ、日常の痛みと希望を等身大に映し出し、今なお多くの歌い手と聴き手に“きっと”を灯す。