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After You've Gone verse付き

  • 作曲: CREAMER HENRY
#スタンダードジャズ
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After You've Gone verse付き - 楽譜サンプル

After You've Gone verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

After You've Goneは1918年発表のスタンダード。一般的なクレジットでは作曲Turner Layton、作詞Henry Creamerとして広く知られます。今回の提供情報では作曲者が「CREAMER HENRY」とされていますが、史資料・録音解説では上記の分担が通説です。タイトルの「verse付き」は、本編(コーラス)前に置かれる導入部=ヴァースを含む版・演奏を指します。ヴァースは語り口調の旋律と和声で物語の前提を示し、その後に耳なじみのコーラス部が続く構成が基本です。キーやテンポ、長さは演者・版によって差異があり、ヴァースを省略する実演も多く見られます。

音楽的特徴と演奏スタイル

本曲は機能和声に基づく明快な進行と、歌いやすい旋律線が特長。コーラスはヴァースに続く定型の歌部分で、ジャズではミディアム~アップのスイングで演奏されることが多いです。2ビートで始めて4ビートへ移行する展開や、ターンアラウンドを拡張したアドリブも好まれます。ヴァース付きの解釈では、語り口を生かしたルバート気味の導入からリズムセクションが入る流れが効果的。ハーモニーは副属和音や裏コードが取り入れやすく、ソロではモチーフの順次展開やコール&レスポンスが映えます。エンディングはタグ反復やフェルマータで余韻を残すのが定番です。

歴史的背景

1910年代のティン・パン・アレー流行歌は、ヴァース+コーラスの設計で出版され、ダンスホールや劇場を通じて大衆に広まりました。After You've Goneもその系譜にあり、第一次世界大戦期のアメリカで、哀愁を帯びた失恋の情感と共に人気を獲得。やがてニューオーリンズ~シカゴ~ニューヨークのジャズ・シーンに取り込まれ、スイング時代にはバンドと歌手の重要レパートリーとして定着します。楽曲の懐の深さが、ヴォーカル小編成からビッグバンド、ホットジャズからモダンまで、多様なスタイルへの適応を可能にしました。

有名な演奏・録音

本曲は数多の巨匠が取り上げています。特にベッシー・スミスやルイ・アームストロングの録音は、歌の情感とスイング感の両輪を示す古典的名演として知られます。スウィング期のコンボやベニー・グッドマン周辺の録音、ジャンゴ・ラインハルトやシドニー・ベシェによるホットジャズ的な解釈も愛好家の定番。ヴァースをあえて省略する潔いアレンジもあれば、原典の趣を重んじてヴァースから入るヴォーカル・バージョンも評価が高く、歌伴とインスト双方でレパートリーの中心に位置づけられます。

現代における評価と影響

今日でもジャム・セッションやレッスンで頻繁に扱われる定番曲です。多くのフェイクブックに掲載され、キーやイントロの工夫、テンポ設定によって多彩な表情を引き出せます。ヴァース付きの選択は物語性を強化し、ステージ構成のメリハリ作りに有効。リズム・セクションは2ビートと4ビートの切り替え、ソリストは旋律モチーフの変奏で原曲の歌心を保つと、時代感と現代性の両立が可能です。教育現場では、機能和声の基礎とスイング・フィールを学ぶ好素材とされています。

まとめ

After You've Goneは、ヴァースからコーラスへと続く古典的設計と、時代を超えて歌い継がれるメロディが魅力のジャズ・スタンダードです。ヴァース付きの演奏は物語性を強調し、観客の没入を促します。名演の蓄積に裏打ちされた普遍性を持ちつつ、和声の拡張やリズムの工夫で現代的な解釈も自在。クレジット表記には版差が見られるため出典確認が望ましいものの、楽曲自体の価値は揺るぎません。初学者から上級者まで、歌と即興の橋渡しを学べる格好の一曲です。