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All Of Me verse付き

  • 作曲: SIMONS SEYMOUR B, MARKS GERALD
#スタンダードジャズ
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All Of Me verse付き - 楽譜サンプル

All Of Me verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「All Of Me」はGerald MarksとSeymour B. Simonsによる1931年のジャズ・スタンダード。一般的に32小節のABAC形式で、冒頭に短い導入歌「ヴァース(verse)」をもつ版が存在する。ヴァースは物語的前口上として感情の地平を設定し、その後のコーラスに向けて動機を提示するが、ジャズ演奏では省略されることも多い。

音楽的特徴と演奏スタイル

音楽的には、主調はCまたはB♭で扱われることが多く、循環進行、二次ドミナント、借用和音を交えた滑らかな和声進行が魅力。メロディは跳躍と順次進行の対比が明快で、スイングからミディアム・バラード、ボサノヴァ風まで適応範囲が広い。ヴァース付き構成では、語り口の低密度からコーラスでのスイング感へ段階的に拡張するダイナミクスが生きる。

歴史的背景

1931年、ティン・パン・アレー由来の流行歌として出版され、ほどなくジャズ・バンドに取り入れられてスウィング期の定番へと定着した。失意の恋を洒脱に処理する内容は大恐慌下の大衆心理とも呼応し、ダンスホールやラジオを通じて急速に普及。楽譜販売とレコード流通の相乗効果でスタンダード化が進んだ。

有名な演奏・録音

代表的録音には、Ruth Etting(1931)、Louis Armstrong(1932)、Django Reinhardt(1935)、Billie Holiday(1941)、Frank Sinatra(1954)、Ella Fitzgerald(各期)、さらにカントリーへの越境例としてWillie Nelson(1978)などが挙げられる。ヴァースを全篇歌う例は相対的に少ないが、劇場型アレンジや独唱リサイタルでは採用されることがある。

現代における評価と影響

現在も世界中のジャム・セッションや音楽教育で基本曲として扱われ、初学者がスタンダード語法を学ぶ入口であると同時に、上級者には解釈の余地が広い楽曲として評価される。ヴァース付きで提示すると物語性が増し、歌伴やステージ構成での起伏作りにも有効とされる。

まとめ

まとめると、「All Of Me(verse付き)」は、歌詞の情景と洗練された和声が融合した普遍的レパートリーである。ヴァースの有無を含めた形式選択、テンポやフィールの設計、歌詞のニュアンスの活かし方が鍵となり、時代やジャンルを横断して演奏者と聴き手を結び続けている。