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Blue Skies verse付き

  • 作曲: BERLIN IRVING
#スタンダードジャズ
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Blue Skies verse付き - 楽譜サンプル

Blue Skies verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Blue Skies」は1926年、Irving Berlin(作詞作曲)によるポピュラー曲で、ブロードウェイのミュージカル「Betsy」で初披露された。のちにジャズの主要レパートリーとなり、現在はスタンダードとして広く認知されている。イントロにあたる語り口調の“ヴァース(verse)”が存在し、これを含めて演奏・歌唱する版が「verse付き」。本体は32小節のAABA形式で、晴れやかな旋律線と明快な和声進行が核を成す。

音楽的特徴と演奏スタイル

ヴァースは内省的な情景から始まり、続くコーラスで一気に明るさへ転調したかのような感覚をもたらす対比が魅力。スウィングの4ビートで中〜速テンポの演奏が定番で、循環進行やセカンダリー・ドミナント、ターンアラウンドを活かしたアドリブが組み立てやすい。ボーカルはストレートなメロディ提示からスキャットへ展開する解釈も多く、インストではユニゾンのキメやブレイクで推進力を作る編曲が好まれる。

歴史的背景

初演の翌年、映画「ジャズ・シンガー」(1927)でア・ジョルソンが歌唱し、トーキー黎明期を象徴する楽曲として注目を集めた。さらに1946年の映画「Blue Skies」でも用いられ、アメリカの大衆文化における地位を確立。ティン・パン・アレーの作曲術とブロードウェイのショウ性、そしてスウィング以降の即興文化が結びつくことで、ポピュラー曲から“ジャズ・スタンダード”へと定着していった。

有名な演奏・録音

名演は数多い。エラ・フィッツジェラルドの「Irving Berlin Song Book」は透明感のあるフレージングで決定版の一つ。ビング・クロスビーやフランク・シナトラの歌唱は、洗練されたタイム感とフレーズ処理でスタンダード解釈の規範となった。カントリーではウィリー・ネルソンが柔らかなスウィング感で個性を示し、ビッグバンドから小編成コンボまで幅広い編成で録音が残る。

現代における評価と影響

現在もジャム・セッションの定番曲として世界中で演奏され、教材や“リアルブック”にも収録される。シンプルな主題と明快なAABA構造は、初心者の入口としても上級者の再解釈素材としても機能し、スウィング、ビバップ、ヴォーカル・ジャズ、カントリーなど横断的に親しまれる。ヴァースを付す舞台的アプローチは物語性を強調し、ライブでのドラマ構築に有効だと再評価されている。

まとめ

「verse付き」のBlue Skiesは、陰影のある導入から晴朗な本編へ跳躍するコントラストが最大の聴きどころ。ブロードウェイ由来の歌心と、即興に開かれた構造が共存するため、歌手・器楽奏者ともに表現の幅が広い。まずはヴァースを含む録音と含まない録音を聴き比べ、曲のストーリー性とスイング感のバランスを掴むことで、このスタンダードの魅力が一段と際立つだろう。