Don't Be That Way verse付き
- 作曲: GOODMAN BENNY, PARISH MITCHELL, SAMPSON EDGAR M

Don't Be That Way verse付き - 楽譜サンプル
Don't Be That Way verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Don't Be That Wayは、GOODMAN BENNY, PARISH MITCHELL, SAMPSON EDGAR Mのクレジットで知られるスウィング期のジャズ標準曲。エドガー・サンプソンによるオリジナルはインストゥルメンタルとして広まり、後にミッチェル・パリッシュが歌詞を付与。ベニー・グッドマンのレパートリーとして決定的な名声を得ました。ここで言う「verse付き」とは、本編(コーラス)前に置かれる短い導入部=ヴァースを含む歌唱版を指し、録音やライブでは省略されることも多い要素です。初出年は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
しなやかなスウィング・フィールとリフ主体のメロディが核。セクション同士のコール&レスポンスが映え、クラリネットやトランペットのソロを活かしやすい構造です。ビッグバンドでも小編成でも機能し、テンポ設定は中速からアップテンポまで幅広い。歌唱版ではヴァースが物語的な情緒を与え、その後に続くコーラス部でよりキャッチーな主題が展開されます。ヴァースは和声的に落ち着いた導入となり、聴き手を本編のスウィング感へ自然に誘導します。
歴史的背景
1930年代、ニューヨークのスウィング・シーンで隆盛したチック・ウェブ楽団のレパートリーを源流とし、後年ベニー・グッドマン楽団が全米的な人気とともに普及させました。特に1938年のグッドマン「カーネギー・ホール・コンサート」でのオープニング・ナンバーとしての扱いは象徴的で、同曲がスウィング時代の代表曲として記憶される契機となりました。歌詞はミッチェル・パリッシュが後付けし、器楽曲としての魅力に言葉の物語性を加えています。
有名な演奏・録音
決定版として語られるのはベニー・グッドマンの各種録音と、カーネギー・ホールでの歴史的パフォーマンス。チック・ウェブ楽団による先行的な演奏も資料的価値が高く、スウィングのアンサンブル美学を伝えます。以降、多数のビッグバンドやクラリネット奏者が取り上げ、歌詞版ではヴァースの有無を含め多様な解釈が生まれました。映画での使用は情報不明ですが、スウィング・ダンスのイベントやリバイバル公演で度々演奏されています。
現代における評価と影響
本曲はスウィングの醍醐味を凝縮した教材的レパートリーとして、教育現場のビッグバンドやジャム・セッションで定番化。リズム・セクションの推進力、リフ・ワーク、ソロの受け渡しといったスウィング語法を実践的に学べます。歌唱版ではヴァースを含めるか否かでドラマ性が大きく変わるため、編成や会場に応じたプログラミングが可能。クラシックなサウンドを保ちつつ、モダンな和声や新規リズム処理での再解釈も進んでいます。
まとめ
Don't Be That Wayは、器楽曲の力強いスウィング感と、パリッシュによる歌詞がもたらす物語性を併せ持つジャズ標準曲です。ヴァース付きの歌唱版は導入の表情付けに有効で、演奏者の美学を明確に示せます。歴史的名演から現代的再解釈まで幅広く受け継がれ、初心者から上級者まで取り組む価値が高い一曲と言えるでしょう。