あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

Hello Young lovers verse付き

King And I

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#スタンダードジャズ#映画音楽
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Hello Young lovers verse付き - 楽譜サンプル

Hello Young lovers verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Hello Young loversは、作曲リチャード・ロジャース、作詞オスカー・ハマースタイン2世によるブロードウェイ・ミュージカル『The King and I(王様と私)』の楽曲(1951年初演)。本項の“verse付き”とは、多くの舞台・録音で省略されがちな前口上(イントロダクション)を含む完全形を指す。作品中では主人公アンナが若い恋人たちに心を寄せ、自身の過去を静かに語る重要な場面で歌われる。後年の映画『王様と私』(1956)でも取り上げられ、舞台と映画の双方で広く親しまれてきた。歌詞の全文は割愛するが、内容は思いやりと回想、祝福が核となる抒情的バラードである。

音楽的特徴と演奏スタイル

ロジャースらしい流麗な旋律線と豊かな和声語法を持つ穏やかなバラード。verseは語り口調で物語の情緒を整え、続くリフレイン部で旋律が大きく歌われる構成が特徴で、dramaticな起伏を自然に生む。ジャズの現場では、verseを自由なテンポで歌い、リフレインから4ビートに乗せる解釈が一般的。ボーカルはレガートとブレスの間合い、語りの説得力が鍵となり、インストゥルメンタルではテーマの歌心を保ちながら、テンポ・ハーモニーを控えめに再構成して品位を保つアレンジが好まれる。

歴史的背景

『王様と私』は戦後ブロードウェイ黄金期を代表するロジャース&ハマースタイン作品で、異文化理解と人間の尊厳を軸にした物語世界を音楽で支えた。Hello Young loversは、アンナが過去の愛に触れながら、若い恋人たちを祝福する場面で用いられ、人物造形とドラマの進行を同時に担う。楽曲は初演当時から観客の共感を呼び、ショー・チューンとしての生命力を示した。1956年の映画版でも採用され、物語の情緒を映像とともに広く伝える役割を果たした。

有名な演奏・録音

初演のブロードウェイ・キャストによる録音(1951)は、舞台での解釈を記録した重要資料。映画『王様と私』(1956)では、俳優デボラ・カーの歌唱をマーニ・ニクソンが吹き替え、サウンドトラックとして流布した。以後、ミュージカル界の歌手やジャズ・ヴォーカリスト、室内編成による器楽版まで幅広く取り上げられ、レパートリーとして息長く演奏されている。個々の代表的録音の網羅は情報不明だが、舞台版・映画版はいずれも参照価値が高い。

現代における評価と影響

本曲はショー・チューンとしての物語性と、スタンダードとしての普遍性を併せ持つため、コンサート、リサイタル、音楽教育の場でも頻繁に扱われる。verse付きで演じるとドラマの輪郭が明瞭になり、歌い手のストーリーテリング能力を示せる点が再評価されている。ジャズの現場でも選曲され続け、バラード表現やダイナミクスの指標として機能。ジャンル横断で愛奏されることで、ロジャース&ハマースタイン作品の強度を現代に伝えている。

まとめ

Hello Young loversは、前口上(verse)を含む完全形でこそ、物語性と情感が最大限に立ち上がる名曲である。1951年の誕生以来、舞台と映画、そしてジャズやコンサートの現場で受け継がれ、穏やかな旋律に込められた共感と祝福のメッセージは今も普遍的な力を持つ。演奏・鑑賞の際は、verseの有無と語りのニュアンスに留意すると、本曲の魅力が一層鮮やかに伝わるだろう。