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I Don't Know Why, I Just Do verse付き

  • 作曲: AHLERT FRED E
#スタンダードジャズ
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I Don't Know Why, I Just Do verse付き - 楽譜サンプル

I Don't Know Why, I Just Do verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「I Don't Know Why, I Just Do」は、作曲Fred E. Ahlert、作詞Roy Turkによる1931年の流行歌。原語は英語で、のちにジャズのレパートリーとしても広く親しまれてきた。本稿では“verse付き”=序唱のヴァースを含む版を前提に解説する。ヴァースは物語の導入を担い、その後にコーラス(リフレイン)で主旋律が展開する作りは、当時のティン・パン・アレー系楽曲に典型的である。正式題は括弧を含む表記が用いられることもあるが、ここでは与えられた表記に準拠する。

音楽的特徴と演奏スタイル

この曲の魅力は、穏やかな語り口のヴァースから、印象的で歌いやすい旋律のリフレインへと自然に気分が高まる設計にある。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く選べ、ピアノ弾き語り、ギター・デュオ、小編成コンボ、ビッグバンドまで器楽編成の自由度が高い。和声は30年代前半の伝統的ポップに見られる手法が中心で、副属や循環的な進行が滑らかな感情推移を支える。実演ではヴァースを省略し、コーラスのみで演奏・録音するケースも少なくない。

歴史的背景

1931年は大恐慌下で、出版譜・ラジオ・ダンスバンドが流行歌の普及を担っていた時代。AhlertとTurkは当時のヒットメーカーとして名を成し、本曲も恋愛感情を端的に歌い上げる王道の一例である。ヴァース+リフレインという構造は、舞台や放送で状況を提示してからサビで核心を訴える実用性が高く、観客の理解を助ける巧みな語りの手段として機能した。こうした背景が、後年のジャズ界でも採り上げられ続ける下地になった。

有名な演奏・録音

初演者や最初期のチャート推移などの詳細は情報不明。ただし、1930年代のダンス・バンド時代から戦後のポップ/ジャズ・ヴォーカルに至るまで、多数の録音が存在することは確かで、アーカイブ配信や復刻盤で容易に聴取できる。ヴァースを完全に歌う版、器楽イントロに差し替える版、テンポを大胆に変える版など、アレンジの自由度が高い点も本曲の魅力である。映画・テレビでの具体的使用例の網羅も情報不明。

現代における評価と影響

今日でもスタンダード集に収録されることがあり、ジャズのセッションやボーカル・ライブで取り上げられる場面が見られる。率直な恋心を反復する歌詞は時代を超えて共感を呼び、アレンジ次第でノスタルジックにもモダンにも響く。教育的には、ヴァースの扱い方、英語詞のディクション、スウィング解釈やブレス配分を学べる題材として有用で、編曲面でもハーモニーの差し替えや転調設計の練習曲として応用が利く。

まとめ

「I Don't Know Why, I Just Do」は1931年に誕生したポピュラー/ジャズ・スタンダードで、ヴァースからコーラスへ感情を誘導する構造が核となる。確定情報としては、作曲Ahlert、作詞Roy Turk、発表年1931。初演者・チャート詳細・映像使用の網羅は情報不明だが、さまざまなテンポや編成に適応し、今なお演奏実践に耐える厚みをもつ一曲である。ヴァース付き版を手がかりに、構成と表現の関係性を味わいたい。