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I Let A Song Go Out Of My Heart verse付き

  • 作曲: ELLINGTON DUKE
#スタンダードジャズ
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I Let A Song Go Out Of My Heart verse付き - 楽譜サンプル

I Let A Song Go Out Of My Heart verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

1938年にデューク・エリントンが発表したスタンダード。作曲はELLINGTON DUKE、作詞はIrving Mills、Henry Nemo、John Redmond。原曲には導入部となるヴァースが付属し、その後に32小節AABAのリフレインへ続く。初演・初ヒットはエリントン楽団の録音で、ヴォーカルはアイヴィー・アンダーソンが担当。現在はヴォーカル曲としてもインストとしても広く演奏される。

音楽的特徴と演奏スタイル

中庸からやや速めのスウィングで演奏されることが多く、流麗なメロディと滑らかな和声進行が特徴。内声の半音階的な動きと、終止に向けた機能和声の明確さがソロ構築を助ける。ヴァースは自由なテンポで語るように歌い、リフレインに入ると4ビートで推進力を得るのが定番。Aセクションは主題を端正に提示し、Bセクションで和声色の変化と緊張・解放を作るアレンジが好まれる。ヴォーカルは余白を活かし、器楽はリリカルなアプローチが映える。

歴史的背景

スウィング黄金期の1938年、エリントン楽団は円熟期にあり、本曲は全米でヒットを記録した。ダンスホールやラジオ放送を通じて広く親しまれ、エリントンが優れたメロディ・メイカーであることを改めて示した。出版譜にはヴァースが明記されているが、戦後の演奏では省略されることも多く、歌手や編曲者の美学によって運用が分かれる。

有名な演奏・録音

決定的な初期録音はデューク・エリントン楽団(1938、Vo: アイヴィー・アンダーソン)。以後もエリントンは自楽団で再演を重ね、オーケストラ版と小編成版の双方で録音が残る。ヴォーカルではエラ・フィッツジェラルドが『Sings the Duke Ellington Song Book』(1957)で洗練された解釈を提示。ほかにも多くのジャズ歌手・器楽奏者がレパートリーに加え、レコーディングは枚挙にいとまがない。

現代における評価と影響

耳に残る旋律と明快なAABA設計は、セッションや教育現場でも扱いやすい。ヴォーカリストにとってはヴァース付きで物語性を高められ、インスト奏者にとっては自然なフレーズ誘導と適度な和声変化が即興に好適。歌詞の詳細な解釈や映画・広告での使用実績は情報不明だが、ジャズ・スタンダードとしての地位は堅固で、年代・編成を超えて演奏が継続している。

まとめ

ヴァースからAABAへ展開する古典的設計、端正で口ずさみやすい旋律、アレンジの自由度。I Let A Song Go Out Of My Heartは、エリントンの作家性を凝縮し、今なお多様な解釈を生む不朽のジャズ・スタンダードである。