あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

If You Could See Me Now verse付き

  • 作曲: DAMERON TADD, SIGMAN CARL
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

If You Could See Me Now verse付き - 楽譜サンプル

If You Could See Me Now verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『If You Could See Me Now』は、作曲タッド・ダメロン、作詞カール・シグマンによるジャズ・バラード。1946年にサラ・ヴォーンが初録音しスタンダード化した。タイトルにある“verse付き”は、導入部のヴァース(前奏的な歌唱部分)を含む演奏を指す。ヴァースの譜面流通や正式な初出形態は情報不明だが、歌手によって本編前に自由テンポで挿入される。恋人への想いを内省的に語る内容で、歌詞の全文引用は避けるが、喪失と希求がコア・テーマである。

音楽的特徴と演奏スタイル

ダメロン特有の滑らかな旋律線と洗練された和声進行が核。半音階的内声、代理和音、テンション配置が叙情を深める。基本はスロウ・バラードで、歌手はロングトーンとレガートを重視。器楽ではリハーモナイズと間合いを活かしたソロが好まれ、ヴァースをルバートで導入し本編で拍を明確化する実践も多い。強い感情を直接ぶつけるより、息づかいと音価のコントロールで陰影を作る解釈が要となる。

歴史的背景

第二次大戦直後のビバップ勃興期、ダメロンはロマンティシズムを備えた“メロディ派のビバッパー”として評価を確立。本曲はポピュラー・ソングの親しみやすさとビバップの高度な和声感の架け橋となった。初出レーベルや初演会場などの詳細は情報不明だが、サラ・ヴォーンの歌唱が決定版として広く認知され、以後ヴォーカル/インスト双方で受け継がれていく。

有名な演奏・録音

代表的なのはサラ・ヴォーンの1946年録音。ピアニストのバリー・ハリスはダメロン作品を集中的に取り上げ、本曲の語法を今日に伝えた。さらにフィリー・ジョー・ジョーンズ主宰のダメロニアが再評価を後押しし、後続の歌手や管楽器奏者もレパートリーに定着させた。ヴァースを含む版・含まない版が混在し、解釈の幅を生んでいる。その他の詳細ディスコグラフィは情報不明。

現代における評価と影響

音大の実技やジャズ・ワークショップで、歌詞解釈と和声運用の両面を学べる教材として扱われることが多い。バラード解釈、テンポ・ルバート、サブスティテュートの練習に適し、セッションでも時折選曲される。ヴァースをあえて復元し物語性を高める試みは、近年のライブやレコーディングでも散見され、スタンダード解釈の多様性を象徴する存在となっている。

まとめ

叙情と知性を併せ持つ本曲は、ジャズ・バラードの到達点の一つ。ヴァース有無の選択、歌詞の情感、和声の機微を磨けば、時代を超えて輝く表現が可能だ。譜面や録音に一部情報不明点はあるが、名唱名演を手がかりに解釈を築き、自身の音楽言語へと昇華させたい。