It's Been A long Long Time verse付き
- 作曲: STYNE JULE

It's Been A long Long Time verse付き - 楽譜サンプル
It's Been A long Long Time verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「It’s Been A Long, Long Time」はJule Styne作曲、Sammy Cahn作詞による1945年発表のポピュラー/ジャズ・スタンダード。32小節のAABA形式が基本で、冒頭に自由な語り口の導入部“verse”を備えるのが特徴です。verseは静かな独白として物語の情感を準備し、続く“chorus”で印象的なメロディが広がります。歌詞は長い別離を経た恋人の再会をテーマに、触れ合いのときに湧き上がる安堵と喜びを描写。戦時下の離別体験と結び付いた普遍的な感情を、上質な旋律と滑らかな和声で包み込みます。
音楽的特徴と演奏スタイル
テンポはスロー〜ミディアムの4/4。verseはルバートで語り、chorusから規則的なビートへ入るのが典型です。メロディは半音階的な装飾を交えつつ、甘い跳躍と滑らかな下行をバランス良く配置。和声は循環進行やセカンダリー・ドミナントを活用し、柔らかな緊張と解放をつくります。ボーカルは息のコントロールとレガートが要で、裏拍の軽いレイバックが品良くはまります。伴奏はギター・ピアノ・ベースの小編成からビッグバンドまで相性が良く、verse付きの編成では前奏を薄く敷き、言葉を生かすアレンジが効果的です。
歴史的背景
1945年、第二次世界大戦終結の年に登場した本作は、戦地からの帰還と再会のムードと強く共鳴しました。ホームフロントの空気感を映した歌として、ラジオやダンスホールで広く親しまれ、戦後の希望と安堵を象徴する一曲に。大衆的なヒットとジャズ・ミュージシャンのレパートリー化が同時進行で進み、ポピュラーとジャズの橋渡し的存在になりました。
有名な演奏・録音
1945年、Harry James楽団(Vo: Kitty Kallen)による録音が全米で大ヒット。Bing CrosbyがLes Paulのトリオと残したヴァージョンもチャートを席巻しました。以後、多くの歌手・ジャズメンが取り上げ、バラードの定番に。映画では、Marvel Studios『アベンジャーズ/エンドゲーム』のラストシーンに使用され、世代を超えて再評価を獲得。録音や映像作品の文脈で、verseの有無が解釈の違いを際立たせる点も聴きどころです。
現代における評価と影響
本作はスウィング〜モダン以降も生き続ける「語りうるバラード」の代表格。歌詞の明確なストーリー性と、AABA構造のわかりやすさから教育現場でも扱われます。verse付きアレンジは物語性を増幅し、ライブでのドラマトゥルギーを作る手法として定着。スタンダード曲集やレパートリーの中でも、季節やテーマを問わずセットに組み込みやすい柔軟さが評価されています。
まとめ
「It’s Been A Long, Long Time」は、戦後の空気を映し出す普遍的なラブソングであり、ジャズ・スタンダードとして多様な解釈に耐える器を持ちます。verse付きの構成は物語性を強調し、聴き手の心を自然に“再会の瞬間”へ導きます。歴史・歌詞・旋律の三位一体が、時代を超えて愛され続ける理由です。