Lullaby Of The Leaves verse付き
- 作曲: PETKERE BERNICE,YOUNG JOSEPH

Lullaby Of The Leaves verse付き - 楽譜サンプル
Lullaby Of The Leaves verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Lullaby Of The Leaves」はBernice Petkere作曲、Joe Young作詞による1932年のポピュラー曲。英語詞を持ちながら、器楽演奏でも広く親しまれ、現在はジャズ・スタンダードとして定着している。タイトルの「verse付き」とは、通常のサビ(refrain)の前に置かれる導入部=ヴァースを省略せずに含めて演奏・歌唱することを指す。ティン・パン・アレー期の多くの楽曲と同様、本曲にもヴァースが存在し、物語的な前口上から本編へ橋渡しする役割を担う。
音楽的特徴と演奏スタイル
本編は一般に32小節構成で、短調の叙情的旋律が特徴。下降形のモチーフや循環進行に基づくII-V連鎖が随所に現れ、ソロ展開の余地が大きい。ヴァースはテンポ・ルバートで始められることが多く、半音進行を含む和声が本編の陰影を予告する。演奏テンポはミディアム・スイングからアップテンポまで幅広く、バラード解釈も少なくない。歌唱では言葉のアクセントとシンコペーションの折り合い、器楽ではマイナーの音色を生かしたハーモニー拡張やモーダルな再解釈が要点となる。ヴァースを採用するとドラマ性と起伏が増し、イントロとしての効果も高い。
歴史的背景
発表は1932年。大恐慌期のアメリカで、シート・ミュージックとラジオを媒介に広がったティン・パン・アレー系ソングライティングの文脈に位置づけられる。やがてスウィング期にダンス・バンドのレパートリーとして浸透し、その後のビバップ/ハードバップ世代にも継承。歌ものとしての魅力に加え、和声進行の面白さから即興の素材としても重宝され、スタンダードとしての地位を確立した。
有名な演奏・録音
初演者や初録音の特定は情報不明。ただし、本曲は歌手によるバラードからコンボのスイング/ビバップ、ビッグバンドのアレンジまで、時代と編成を越えて数多く録音されている。器楽版ではヴァースを省いて本編から始める例が多い一方、「verse付き」での上演はコンサート的な構成やドラマ性を強調する手段として重視される。録音史全体を俯瞰すると、テンポ設定やコードの置き換え、エンディング処理などに時代特有の解釈の差異が見て取れる。
現代における評価と影響
今日でもジャム・セッションや教育現場で取り上げられる機会が多く、短調スタンダードの基礎固めに適した題材として扱われることがある。ヴァースは省略されがちだが、あえて採用することで歌詞の情景や物語性が補強され、アレンジの幅が広がる。キー設定やイントロ/アウトロの設計次第で、古典の風合いから現代的なサウンドまで自在に対応できる柔軟性が評価され、歌もの・器楽の両面でレパートリー価値を保ち続けている。
まとめ
「Lullaby Of The Leaves」は、1930年代のソングクラフトとジャズの即興語法が結びついた代表曲である。ヴァースを含めた全体像を理解することで、物語と和声の流れが一体化し、演奏の説得力が増す。詳細な初演情報など一部に情報不明点は残るものの、世代と編成を超えて演奏され続ける普遍性は揺るがない。ヴァース付きでの提示は、本曲の魅力をいっそう際立たせる有効なアプローチと言える。