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Mean To Me verse付き

  • 作曲: AHLERT FRED E, TURK ROY
#スタンダードジャズ
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Mean To Me verse付き - 楽譜サンプル

Mean To Me verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Mean To Meは、作曲Fred E. Ahlert、作詞Roy Turkによる1929年発表のポピュラー曲で、現在はジャズ・スタンダードとして定着している。タイトルの「verse付き」は、本編コーラス前に置かれる短い導入部(verse)を省かずに演奏・録音する版を指す。原詞は英語で、恋人の冷淡さに傷つきつつも想いが断ち切れない心情を描く。歌詞の全文はここでは扱わないが、嘆きと未練が対照的に配置されるのが大きな特徴である。

音楽的特徴と演奏スタイル

多くの演奏でテンポはバラード〜ミディアム・スイング。verseは語り口調で自由テンポになりやすく、続くコーラスで4/4のスイングに落ち着く構成が一般的だ。ヴォーカルではレガートを基調に、語尾の溜めやダイナミクスで感情の起伏を描く手法が映える。器楽演奏では主題提示の後、コーラス単位でアドリブが展開され、コード進行は機能和声を基軸とするためリハーモナイズの余地も大きい。verseを含めることで物語の導入が明確になり、以降の解釈に陰影が生まれるのも魅力である。

歴史的背景

本作はティン・パン・アレー期に出版され、1929年の発表直後から多くの歌手に取り上げられた。舞台・映画の初出情報は情報不明だが、独立したポピュラー・ソングとしてラジオやレコードを通じて広まり、その後ジャズ・ミュージシャンのレパートリーへ定着。20世紀中盤にはグレイト・アメリカン・ソングブックの一角として認知され、ヴォーカルとスモール・コンボ双方で頻繁に演奏されるようになった。

有名な演奏・録音

初期の代表例として、ルース・エッティング(1929)やアネット・ハンショウ(1929)の録音が知られる。ビリー・ホリデイは1937年の名唱でレスター・ヤングと共演し、以後の解釈に決定的な影響を与えた。サラ・ヴォーン、フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルドなど、主要ヴォーカリストがこぞって取り上げ、インストゥルメンタルでもテナー・サックスやトランペットの名手に愛奏されている。映画での顕著な使用例は情報不明だが、録音史の厚みが本曲の評価を支えている。

現代における評価と影響

今日もヴォーカルの定番教材・レパートリーとして重用され、セッションやリサイタルでも取り上げられる機会が多い。verse付きの完全版はコンサートでのドラマティックな構成に適し、物語性を重んじる歌手の選曲で存在感を示す。多くの譜面集や教育教材に収録され、編曲の自由度も高いため、時代や編成を超えて新しい解釈が生まれ続けている。

まとめ

Mean To Me(verse付き)は、感情の導入を担うverseと親しみやすいコーラスが織りなす名曲。歌でも器楽でも表現の幅が広く、録音史と実演の両面でジャズ・スタンダードの地位を確立している。歴史的背景と名演に触れながら、verseの有無を意識して聴き比べると、作品の奥行きがいっそう明瞭になるだろう。