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My Shining Hour verse付き

  • 作曲: ARLEN HAROLD
#スタンダードジャズ
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My Shining Hour verse付き - 楽譜サンプル

My Shining Hour verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「My Shining Hour」は作曲家ARLEN HAROLD(ハロルド・アーレン)による名曲で、作詞はJohnny Mercer。初出は1943年の米映画「The Sky’s the Limit」で、当時の人気デュオによる黄金タッグが生んだスタンダードとして知られます。32小節AABAを基調とするリフレイン(コーラス)に先立ち、詩的で自由度の高い導入部=ヴァースが存在する版があり、本稿の“verse付き”はその完全形を指します。ヴァースは舞台や映画の文脈では物語的な前口上の役割を担い、リフレインの明快な旋律へ聴き手を導く機能を持ちます。

音楽的特徴と演奏スタイル

リフレインはスイング感に富み、上行フレーズとシンコペーションが爽快な推進力を生みます。ハーモニーはジャズの語法に沿うII–V進行が要所で現れ、アドリブ展開に適した設計です。演奏テンポはミディアムからアップテンポのスイングで取り上げられることが多い一方、バラード解釈も映える汎用性を備えます。ヴォーカルではヴァースをルバートで語りかけるように歌い、テンポ・インしてリフレインを明確に提示するのが典型。インストゥルメンタルではヴァースを省略する場面もありますが、完全版としての再現は曲のドラマ性を強調します。

歴史的背景

本作は第二次大戦期のハリウッド映画音楽の流れの中で誕生しました。「The Sky’s the Limit」にはフレッド・アステア、ジョーン・レスリーらが出演し、当時の娯楽映画の中で楽曲が広く親しまれる土壌がありました。アーレンとマーサーはブロードウェイから映画まで横断的に活躍した名コンビで、本曲もその洗練を体現しています。初演時の歌唱クレジットや吹き替えの詳細、各種受賞歴の有無は情報不明ですが、公開直後からポピュラー/ジャズ双方のフィールドでレパートリーとして受け継がれていきました。

有名な演奏・録音

ヴォーカルではエラ・フィッツジェラルドが「Harold Arlen Song Book」で取り上げ、明晰なフレージングで作品の魅力を定着させました。インストゥルメンタルではジョン・コルトレーンが「Coltrane’s Sound」で快演を残し、疾走感あるアドリブと明快な主題提示で、アーレン作品のジャズ的可能性を広く示しました。その他にも多くの歌手・ビッグバンド・コンボが録音しており、網羅的なディスコグラフィは情報不明ながら、世代やスタイルを超えて継続的に取り上げられています。

現代における評価と影響

「My Shining Hour」は、歌詞を伴うポピュラー・ソングとしての完成度と、即興に耐える構造を兼備するため、教育現場やセッションの定番として息長く支持されています。ヴァース付きの完全版は、物語性を重視するコンサートや録音で再評価が進み、歴史的文脈を踏まえた解釈が増加。ジャズ・ヴォーカルの教材としても適しており、フレーズ運び、ブレス、リハーモナイズの学習素材として活用される機会が多い点も特筆されます。

まとめ

1943年に映画で初出した本曲は、ヴァースとAABAリフレインが織り成すドラマと、ジャズ的発展性を併せ持つスタンダードです。ヴォーカルでも器楽でも光る構成美が、多数の名演を生み、今日まで確かな生命力を保っています。個々の録音データの一部は情報不明ながら、楽曲自体の価値と影響は揺るぎません。