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On Green Dolphin Street verse付き

  • 作曲: KAPER BRONISLAW
#スタンダードジャズ
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On Green Dolphin Street verse付き - 楽譜サンプル

On Green Dolphin Street verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「On Green Dolphin Street」は、作曲家ブロニスラウ・ケイパーによる楽曲で、映画「Green Dolphin Street」のために書かれました。歌詞(作詞:Ned Washington)を備えた楽曲でありながら、ジャズ界では器楽演奏でも広く親しまれています。本記事の“verse付き”とは、コーラス前に置かれる導入部(ヴァース)を含む版を指し、叙情的な語り口で物語の情景を導く役割を担います。原題はしばしば「On Green Dolphin Street」または「Green Dolphin Street」と表記されます。

音楽的特徴と演奏スタイル

ヴァースは自由度の高いテンポ感で始まり、続くコーラスに向けて曲想を整えます。コーラス部はスウィングを基調に、明暗の対比や転調感を活かした独特の和声運動が特徴。近代的な演奏では、印象的なヴァンプを導入やエンディングに配し、モーダルな発想で伸びやかにアドリブを展開する手法が定着しています。テンポはミディアム〜アップ、場合によってはラテン・フィールを交えるなど、多彩なスタイルに適応します。歌唱ではヴァースが情緒を補強し、器楽ではリズム・セクションとの相互作用が肝要です。

歴史的背景

本曲は1947年公開のハリウッド映画の挿入歌として誕生し、作曲者ケイパーは数々の映画音楽で知られる存在です。映画公開後もしばらくして、1950年代後半からジャズ・ミュージシャンに積極的に取り上げられ、クラブやレコーディングの定番へと成長しました。映画起源のメロディと洗練された和声が、当時のモダン・ジャズの語法と相性良く融合し、歌ものとしても器楽曲としても発展した点が本曲の強みです。

有名な演奏・録音

代表的な名演として、1958年前後のマイルス・デイヴィスによる録音は特筆されます。モダン・ジャズの語法で再定義されたサウンドは、その後の演奏スタイルに大きな影響を与えました。ビル・エヴァンス・トリオ、オスカー・ピーターソン、アーマッド・ジャマルらピアニスト陣の解釈も広く知られ、ヴァンプの採用やリハーモナイズなど多様なアプローチが生まれています。ボーカル版も豊富で、ヴァースを含む構成により歌詞のストーリー性が際立つ録音が多く残されています。

現代における評価と影響

現在もセッションで頻出するスタンダードとして位置づけられ、教育現場ではフォーム把握と和声の対比、リズム処理の練習曲として重用されています。ヴァースの有無で表情が変わるため、シーンに応じた構成力が試される点も魅力。プレイヤーはヴァンプ、ペダル、ラテン化など多様な導入法を学べ、歌手は言葉と旋律の間合いを探る実践教材となります。映画発の名曲が、時代と共に更新され続ける稀有な例といえるでしょう。

まとめ

「On Green Dolphin Street」は、映画音楽由来の美しい旋律とジャズ的再解釈の両輪で発展してきた名曲です。ヴァースを含む版は物語性を高め、器楽演奏ではモーダルな広がりを与えます。多彩な解釈を受け止める懐の深さこそ、長く愛奏される理由です。