P.S. I Love You verse付き
- 作曲: JENKINS GORDON,MERCER JOHN H

P.S. I Love You verse付き - 楽譜サンプル
P.S. I Love You verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『P.S. I Love You』は、作曲ゴードン・ジェンキンズ、作詞ジョニー・H・マーサーによる1934年発表のアメリカン・ポピュラー・ソング。タイトルの「verse付き」は、本来冒頭に置かれる短い前口上(ヴァース)を含む版を指す。ビートルズの同名曲とは別作品。ジャズ・ヴォーカルの定番として長く歌い継がれている。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかなバラード・テンポで、柔らかな旋律線と1930年代的な豊かな和声が魅力。ヴァースは語り口で導入し、物語の情緒を整えてからリフレインへ。演奏ではルバートを活かした導入や、ピアノの分散和音、ストリングス/ウッドウインドの薄いパッドがよく合う。キーや形式の定型は演者により異なるが、歌心を中心にした解釈が基本。
歴史的背景
1930年代のティン・パン・アレー黄金期に生まれ、ラジオと楽譜販売を通じて広まった。マーサーは同時代を代表する作詞家として頭角を現し、ジェンキンズは後年まで編曲家・指揮者として活躍。本曲は恋文を題材にしたロマンティックな世界観で共感を呼び、ダンスホールからサロン、ナイトクラブに至るまで多様な場で親しまれた。
有名な演奏・録音
多くの歌手が取り上げており、代表例としてエラ・フィッツジェラルドの『Johnny Mercer Song Book』(1964)が知られる。ヴァースを省略する録音も多いが、「verse付き」の形は物語性が増すため、近年の再演でも重視される傾向がある。その他の主要録音やチャート情報は情報不明。映画での顕著な使用も情報不明。
現代における評価と影響
今日ではジャズ・スタンダードとして教育現場やセッションでも扱われ、特にヴォーカリストのレパートリーに定着。ラブレターという普遍的テーマと、簡潔で覚えやすい旋律が世代を超えて受容されている。同名異曲との混同を避けるため、クレジットに作家名(Jenkins/Mercer)を併記する慣習も見られる。
まとめ
『P.S. I Love You』は、ヴァースを含めて味わうことで、恋文の語りから告白へ至る流れが鮮明になる名曲。1934年生まれのクラシカルな香りを保ちながら、現代の解釈にも耐える懐の深さを持つ。静かな温度感のバラードとして、演奏会や録音で長く選ばれ続ける理由がここにある。