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Side By Side verse付き

  • 作曲: WOODS HARRY M
#スタンダードジャズ
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Side By Side verse付き - 楽譜サンプル

Side By Side verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

1927年に作曲家・作詞家Harry M. Woodsが発表したアメリカ流行歌の定番。タイトルの“verse付き”は、本来の短い導入部(ヴァース)を含む版を指す。ヴァースの後に親しみやすいコーラスが続く構成で、多くの歌手がヴァースを省略する一方、舞台や歴史的再現では原型が尊重される。困難な状況でも寄り添って前に進むという普遍的なメッセージ性があり、ジャズ、ポップ、カントリーなど多分野で歌い継がれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

語り口調のヴァースから、軽快で覚えやすいコーラスへと展開する二部構成。テンポは中庸のスウィングが標準だが、ディキシー調の2ビートやバーブショップ・ハーモニー、カントリー寄りの素朴な伴奏にも馴染む。シンプルな和声進行ゆえ、コール&レスポンスやスキャット、転調や代理和音を織り込むアレンジも映える。ヴァースを加えると物語性が強まり、歌詞の主題がより自然にコーラスへ接続されるため、演奏会や録音では構成選択が音楽的個性を左右する。

歴史的背景

本曲はティン・パン・アレー最盛期の産物で、ラジオとダンスバンド文化の拡大に支えられて広まった。Woodsは「When the Red, Red Robin…」(1926)などで名を高め、本曲でも困難を連帯で乗り越えるという時代共感的なテーマを提示。禁酒法時代の娯楽需要やヴォードビルの舞台文脈にも適合し、軽やかなユーモアと前向きさで大衆に受容された。ヴァース付きの構成は当時の流行歌に典型的で、のちのポップ/ジャズ歌手にも歌い継がれた。

有名な演奏・録音

初期の代表的録音にはNick Lucas(1927)、Paul Whiteman and His Orchestra(1927)、Cliff Edwards(1927)が挙げられる。戦後にはKay Starrのヴァージョン(1953)がヒット。以降もヴォーカル・デュオやバーブショップ、スウィング・コンボなど幅広い編成で録音が重ねられた。映画やテレビでの具体的使用作品名は情報不明だが、世代を超えて親しまれ、各種公演や放送で繰り返し取り上げられている。

現代における評価と影響

シンプルな旋律と前向きなメッセージ性により、ジャム・セッションやコミュニティ合唱、教育現場でも扱いやすい定番曲として定着。イントロのヴァースを加えるか否かで雰囲気が一変するため、歴史的スタイルの再現やプログラムの緩急づけにも有用。編曲の自由度が高く、スウィング、ニューオーリンズ、カントリー、ポップバラードまで幅広い解釈が成立する点も、現代的な演奏者に選ばれる理由となっている。

まとめ

「Side By Side」は、ヴァース付きで聴くと1920年代の文脈がより鮮明になるジャズ・スタンダード。親しみやすいコーラスと柔軟なアレンジ適性により、世代やジャンルを超えて愛唱されてきた。演奏者はヴァースの扱いとテンポ感を工夫することで、古典の魅力を現代の耳に自然に届けられる。記録的名演と併せ、歴史と現在をつなぐレパートリーとして今後も定番であり続けるだろう。