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Stella By Starlight verse付き

  • 作曲: YOUNG VICTOR POPULAR
#スタンダードジャズ
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Stella By Starlight verse付き - 楽譜サンプル

Stella By Starlight verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Stella By Starlight verse付き」は、ジャズ・スタンダードとして広く演奏される名曲。作曲者はYOUNG VICTOR POPULAR(表記)。歌詞はNed Washingtonによるが、本稿では歌詞全文の引用は行わない。初出は1944年の映画音楽に由来し、のちに歌入りで普及。ここでいう“verse付き”とは、通常省略されがちな序唱=ヴァースまで含めて扱う版を指す。

音楽的特徴と演奏スタイル

本曲の魅力は、主調を曖昧にした冒頭進行と、半音階的な和声運動にある。旋律は広い跳躍と滑らかな下行を行き来し、終止感を巧みに先送りするため、ソリストにはモチーフ展開力とガイドトーンの精密な把握が求められる。形式は一般に32小節のスタンダード形式(A-B-A-C系)で認識され、スイングのミディアムからバラードまで幅広いテンポが選択される。ヴァースは自由なテンポで叙情的に始まり、本編のリフレイン部へ自然に架橋する導入として機能する。伴奏では裏コードやトライトーン置換、内声のクロマチック連結が定番で、モダンな再解釈も相性が良い。

歴史的背景

原型は1944年公開のハリウッド映画『The Uninvited』の主題旋律として登場し、その後に歌詞が付けられてポピュラー・ソング化、さらにジャズ界で定着した。レコーディング史では、ビバップ以降の即興語法の変遷とともに、コード・ヴォイシングやテンポ設定が時代ごとに更新され、クラブからコンサートホールまで幅広い場で演奏されてきた。ヴァースは時に省略されるが、歌手やバラード解釈では重視されることが多い。

有名な演奏・録音

名演は枚挙にいとまがない。マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンス、スタン・ゲッツ、クリフォード・ブラウン、キース・ジャレット、エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラらがそれぞれの音楽観で取り上げ、インストゥルメンタルとヴォーカルの双方で決定的解釈を残した。各演奏はキー設定やテンポ、リハーモナイズの方針が異なり、比較視聴で学べる示唆が多い。

現代における評価と影響

今日でもジャム・セッションや音楽教育の現場で頻出し、和声運用、モチーフ展開、リズム処理を総合的に磨ける教材曲として評価が高い。ヴァースを含めた上演はステージングに物語性を与え、歌唱では前奏以上の意味を持つ導入となる。配信時代にはライブ・テイクの細部が容易に参照可能となり、イントロの設計やボイシングの選択が研究対象として注視されている。

まとめ

曖昧さと緊張感を内包した和声、歌詞とヴァースが織りなす物語性により、「Stella By Starlight verse付き」は世代を超えて磨かれ続ける。初学者から上級者まで、表現と理論の両面で学びの多い一曲だ。