When You're Smiling verse付き
- 作曲: SHAY LARRY

When You're Smiling verse付き - 楽譜サンプル
When You're Smiling verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
1928年に発表されたジャズ・スタンダード。作曲はSHAY LARRY、作詞はMark FisherとJoe Goodwin。多くの版がAABA型32小節のコーラスを中心にし、導入部となるverse(バース)が存在する。バースは自由なテンポで物語を提示し、続くコーラスで“笑顔が周囲に伝播して世界を明るくする”という主題が展開される。調性やテンポは演奏者により可変で、歌唱・器楽の双方で広く取り上げられてきた。
音楽的特徴と演奏スタイル
コーラスは覚えやすい起伏のある旋律と、ツー・ファイブ進行やドミナント連結を軸にした伝統的和声が骨格。スウィングのミディアム〜アップで演奏されることが多いが、バラード処理も可能。バースはルバートで語るように歌い、コーラスで2ビートから4ビートへ移行して推進力を生むアレンジが定番だ。ブラスのコール&レスポンス、スキャット、後半での半音〜全音モジュレーションなど、ショウアップされた演出とも相性が良い。即興はガイドトーンの連結と循環進行を捉えると効果的で、ビギナーのアドリブ教材としても適している。
歴史的背景
本曲はティン・パン・アレー期に出版され、翌1929年のルイ・アームストロングによる録音が普及を加速させた。世界恐慌が始まる時代状況の中で、楽観を促すメッセージが大衆の支持を獲得し、ダンス・バンドやヴォーカルの定番レパートリーとして1930年代に浸透。以降、スウィングからモダン期に至るまで、エンターテインメント性と歌心を兼ね備えたレパートリーとして歌い継がれてきた。
有名な演奏・録音
ルイ・アームストロング(1929)は決定的名演として知られ、スウィング感と表情豊かな歌唱で後続の解釈の雛形を提示。フランク・シナトラは1950〜60年代にたびたび録音・舞台で取り上げ、軽快なスウィングで親しみやすさを高めた。ルイ・プリマ&キール・スミスらショウ・バンドのレパートリーとしても定着し、観客を巻き込むオープナー/クロージャーとして機能。今日に至るまで多くの歌手やビッグバンドが取り上げ、時代を超える人気を証明している。
現代における評価と影響
ジャム・セッションやライブの現場で現在も頻繁に演奏され、明快な和声運動と歌いやすい旋律は教育現場でも重宝される。バースを加えることでステージに物語性とダイナミクスを生み出せる点が再評価され、アレンジの自由度も高い。陽性のイメージを喚起する曲調はイベントやエンタメ文脈とも親和し、幅広い聴衆に届くスタンダードとして定位置を保ち続けている。
まとめ
When You're Smilingは、バースを含む構成で物語性と即興性を両立する代表的スタンダード。簡潔な旋律と堅実な和声により多様なテンポ・編成で機能し、笑顔という普遍的テーマで観客と演者をつなぐ。今なお第一線のレパートリーとして生き続ける理由が明確な一曲だ。