White Christmas verse付き
- 作曲: BERLIN IRVING

White Christmas verse付き - 楽譜サンプル
White Christmas verse付き|歌詞の意味と歴史
基本情報
「White Christmas」はIrving Berlin(アーヴィング・バーリン)作のクリスマス・スタンダード。1942年の映画『ホリデイ・イン』でビング・クロスビーが歌い広く知られ、翌年アカデミー賞最優秀歌曲賞を受賞した。verse付きとは、一般的に省略されがちなオリジナルの導入部(ヴァース)を含む版を指す。多くの録音はコーラスから始まるが、ヴァースを加えることで物語的な文脈が補強され、曲の感情の起点が明確になる。作曲・作詞はいずれもIrving Berlin。調やテンポは演者により異なるが、穏やかなバラードとして歌われるのが通例である。
歌詞のテーマと意味
本曲の核は「郷愁」と「理想化されたホリデーの記憶」。ヴァースでは、温暖な土地の眩しい風景の中でクリスマスを迎える語り手が、雪に覆われた北の故郷を思い焦がれる情景が描かれる。これに続くコーラスが、雪景色や鈴の音、カードに綴る挨拶といった象徴的イメージを通じ、誰もが共有できる記憶のアルバムを開く役割を担う。ヴァースを含めることで、単なる季節の願望ではなく、場所と時間の隔たりが生む切なさが前景化され、コーラスの「夢見る白いクリスマス」という願いが一層切実に響く。歌詞の全文はここでは扱わないが、ヴァースは物語的導入として非常に重要である。
歴史的背景
1941年12月25日、ビング・クロスビーのラジオ番組で初披露され、1942年に『ホリデイ・イン』公開とともに人気が爆発。第二次世界大戦下、遠く離れた家族や故郷を想う感情と重なり、人々の心を強く捉えた。クロスビーの録音は史上最多売上のシングルとして広く知られ、需要の高まりから1947年に再録音も行われている。アメリカン・ソングブックの定番として教育・研究の対象にもなり、ヴァース+コーラスという古典的構成の代表例としてしばしば言及される。
有名な演奏・映画での使用
映画では『ホリデイ・イン』(1942)に続き、『ホワイト・クリスマス』(1954)でも重要曲として用いられ、季節映画の象徴的存在となった。録音では、ビング・クロスビーが決定版として知られるほか、フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド、エルヴィス・プレスリー、ザ・ドリフターズ、マイケル・ブーブレなど、多様なスタイルでカバーが繰り返されてきた。ヴァース付きの完全版は舞台やジャズ系シンガーのライブで重視される傾向があり、曲のストーリー性を活かしたアレンジで再評価が進んでいる。
現代における評価と影響
本曲は毎年ホリデーシーズンにチャートへ再浮上し、ストリーミングでも定番の座を保つ。ヴァース付きは、楽曲の文脈を丁寧に伝えたい場やアルバム志向の作品で選ばれ、編曲家はテンポや和声の差異で季節感と郷愁を演出する。広告、ドラマ、舞台での使用も盛んで、クリスマス文化を象徴する音像の一つとして定着。教育面でも、20世紀ポピュラー音楽の作法(AABA型コーラスに先立つヴァースの役割)を学ぶテキストとして扱われることが多い。
まとめ
「White Christmas」のverse付き版は、温暖な現実と雪の記憶を対置し、郷愁の物語を完成させる。映画発の名曲として歴史に刻まれ、多数の名演を生みながら、いまも季節を告げる音として鳴り続けている。ヴァースを含めるか否かは解釈の選択だが、物語性を重んじるならぜひ聴きたい。