You Do Something To Me verse付き
- 作曲: PORTER COLE

You Do Something To Me verse付き - 楽譜サンプル
You Do Something To Me verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『You Do Something To Me』は作曲者表記PORTER COLE(一般にはコール・ポーター)による1929年の歌物。ブロードウェイ『Fifty Million Frenchmen』のために書かれたスタンダードで、「verse付き」は後年省かれがちな導入部(ヴァース)を含む完全版を指す。ヴァースは曲の世界観を語り、続くリフレイン(いわゆる本体)につながる。
音楽的特徴と演奏スタイル
ヴァースは語り口調で状況を導入し、続くリフレインで主題が立ち上がる。機知ある言葉と滑らかな旋律、都会的ハーモニーが魅力。テンポはミディアムからバラードまで自在。歌唱ではヴァースからの受け渡しとブレス設計、語尾のニュアンスが要点。器楽でも序奏としてヴァースを編曲する例があり、テーマ前に雰囲気を整える手法として機能する。
歴史的背景
1929年はブロードウェイ黄金期。ポーターは都会派ソングライターとして評価を高め、本曲は『Fifty Million Frenchmen』で恋の昂ぶりを描くナンバーとして用いられた。世界恐慌前夜の空気と、後のジャズへ繋がるポピュラー音楽の成熟を映す一曲でもある。初演の歌手や初録音に関する詳細は情報不明。
有名な演奏・録音
代表的録音として、エラ・フィッツジェラルド『Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book』(1956)が広く知られる。明快な発音とスウィング感で決定版の一つとされる。その他にも多くの歌手・奏者が取り上げるが、網羅的な一覧や特定の映像作品での使用については情報不明。ヴァース完全収録とリフレインのみの版が並存するのがディスコグラフィ上の特徴だ。
現代における評価と影響
現在はショー・チューンとジャズ双方の文脈で演奏され、教育現場やセッションでも定番。ヴァース付き演奏は物語性が増し、歌詞理解やアレンジ研究に有用と評価される。配信時代にはアルバム版とシングル編集版の差異が可視化され、ヴァースを含む完全版への関心が高まっている。
まとめ
ヴァースを含む本曲は、言葉・旋律・ハーモニーの融合が冴える名曲。編成や場面に応じて柔軟に設計でき、歌もの・器楽の両面で生きる。出自のミュージカル的文脈を踏まえつつ、ジャズ・スタンダードとしての普遍性を味わいたい。