What A Little Moonlight Can Do verse付き
- 作曲: WOODS HARRY M

What A Little Moonlight Can Do verse付き - 楽譜サンプル
What A Little Moonlight Can Do verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Harry M. Woodsが1934年に発表したスタンダード・ナンバー。恋の高揚感を“月明かりの魔法”に喩える内容で、ヴァース(前歌)とコーラスから成る。多くの録音でヴァースが省略されるが、「verse付き」は映画的な導入を含む完全版を指し、物語性が際立つ。ジャズ・ヴォーカルの主要レパートリーとして現在も広く歌われる。
音楽的特徴と演奏スタイル
ヴァースは語り口調で自由なテンポ、続くコーラスは軽快なスウィングに転じる構成。32小節の標準的な歌形式で演奏されることが多く、循環進行と副属和音を活かした明快なコード運びが特徴。ミディアム〜アップのテンポ、2ビートから4ビートへの推進、間奏でのスキャットやトレードなど、歌とバンドの掛け合いが映える。
歴史的背景
本曲は1930年代半ばのスウィング時代に浸透し、1935年のTeddy Wilson and His OrchestraにおけるBillie Holidayの録音で決定的に広まった。以降、クラブやダンスホールで親しまれ、女性シンガーの出世曲として位置づけられることも多い。出版年は1934。初出の舞台・映画情報は情報不明。
有名な演奏・録音
代表盤はBillie Holiday(1935、Teddy Wilson楽団)。彼女の初期レパートリーを象徴する1曲として評価が高い。以後、多数の歌手・コンボが取り上げ、ヴァース有無やテンポ、キー選択で解釈が分かれる。モダン以降はリハーモナイズやイントロの独自化も盛んで、ピアノ・トリオやギター・デュオ編成でも定番となった。
現代における評価と影響
今日でもジャム・セッションや音楽大学の実技科目で扱われる頻度が高く、歌詞の分かりやすさとスウィング感の両立が教材として好適とされる。ヴァースを含める構成は、物語的な起伏を演出したいアーティストに選ばれやすく、アルバムのオープナーやアンコール曲としての相性も良い。配信時代においても再演が継続する生命力をもつ。
まとめ
「What A Little Moonlight Can Do」は、月夜の高揚を軽やかなスウィングで描く普遍的名曲。ヴァースを付すか否かで表情が変わり、歌手の個性とバンドのアレンジが際立つ。1930年代に生まれた本曲は、ビリー・ホリデイ以降の多彩な解釈を経て、今もなおジャズ・ヴォーカルの核を成すレパートリーであり続けている。