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Winter Wonderland verse付き

  • 作曲: BERNARD FELIX
#スタンダードジャズ
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Winter Wonderland verse付き - 楽譜サンプル

Winter Wonderland verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Winter Wonderland」は、作曲Felix Bernard、作詞Richard B. Smithによる1934年発表のホリデー定番曲。クリスマス期に広く親しまれ、ジャズ/ポップ双方のレパートリーとして演奏される。ここで扱う“verse付き”とは、軽快なリフレイン(Sleigh bells…で始まる部分)に入る前の導入部=ヴァースを含めた構成を指す。ヴァースは物語の情景を設定する役割を担い、スタンダードの歴史的様式を体感できるのが特徴である。

音楽的特徴と演奏スタイル

ヴァースは落ち着いた語り口で冬の情景を描き、続くリフレインで明るいウィンター・レジャーへと一気に開けるコントラストが魅力。ジャズではミディアム・スウィングで演奏されることが多いが、ボサノヴァ、ワルツ、バラードなど多彩なアレンジに適応する。和声は循環進行と明快なドミナント・モーションを基調とし、歌伴では詞の語感を生かすレガート運びが要点。器楽演奏ではリフレインの明快な旋律美を活かしつつ、ヴァースをルバート気味に導入してドラマ性を高める処理が好まれる。多くの現場で32小節AABA型として扱われ、間奏で転調やソリ・ブロックを挿む編曲も一般的。

歴史的背景

1934年に公開され、同年のダンス・バンド文化とラジオ放送の隆盛に支えられて急速に普及した。ヴァースを持つ形はティン・パン・アレー期の作法で、当時のポピュラー曲に共通する“情景提示→主題”の構築を色濃く残している。戦後はホリデー・シーズンの定番として定着し、ジャズ・シンガーやビッグバンド、コーラス・グループ、現代ポップまで幅広い領域で再解釈が進んだ。

有名な演奏・録音

初期のヒットとしてRichard Himber and His Ritz-Carlton Orchestra(1934)が知られる。続いてGuy Lombardo楽団も人気を博し、戦後はPerry Como、Johnny Mathis、Ella Fitzgerald(『Ella Wishes You a Swinging Christmas』)、Tony Bennett、Eurythmics、Michael Bubléなど多彩な歌手・バンドが名演を残した。ジャズ文脈では、スウィングからモダンまで時代様式に合わせたテンポ感とリハーモナイズが聴きどころで、ヴァースを敢えて残すヴォーカル・アルバムも少なくない。

現代における評価と影響

今日ではホリデー期のセットリストに欠かせないスタンダードとして、商業施設のBGMからコンサート・ホール、ビッグバンド公演、学校の吹奏楽・合唱編曲まで幅広く流通する。ヴァース付きの版は、単なる季節歌を超えて楽曲の物語性と様式的由来を伝える教材的価値も高く、歌手・伴奏者双方にとって表現の幅を広げる。年々新録が更新されることで世代横断的な認知が保たれ、編曲・録音の多様性が作品の生命力を裏打ちしている。

まとめ

「Winter Wonderland」は、ヴァースが描く静謐な情景と、リフレインの開放感が連続する構成が魅力のジャズ・スタンダード。1934年の誕生以来、無数の録音と編曲が生まれ、現在もシーンを横断して演奏され続けている。ヴァース付きで聴くことで、楽曲のドラマと時代様式を一層深く味わえるだろう。