Tea For Two verse付き
- 作曲: YOUMANS VINCENT

Tea For Two verse付き - 楽譜サンプル
Tea For Two verse付き|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Vincent Youmans作曲、Irving Caesar作詞のTea For Twoは、1924年のブロードウェイ・ミュージカル「No, No, Nanette」で初演されたスタンダード。一般にはコーラス中心で演奏されるが、「verse付き」は冒頭のイントロダクション(ヴァース)を含む版を指す。歌物として成立しつつ、ジャズでも広く親しまれている。
音楽的特徴と演奏スタイル
コーラスは32小節AABA型。明快な旋律と循環進行を土台に、セカンダリー・ドミナントや置換和音で彩りやすい。ヴァースは語り口調の旋律と柔軟なテンポ運用が特徴で、物語的な導入を担う。演奏面ではミディアム〜アップのスウィング、ストライド・ピアノ、バラード、時にラテン風まで幅広く、アドリブ教材としても定番。
歴史的背景
1920年代ティン・パン・アレー黄金期に生まれ、舞台の成功とともに普及した。楽曲の普遍性は国境を越え、作曲家ショスタコーヴィチが1928年に「Tahiti Trot(Op.16)」として編曲するなど、クラシック界にも波及。以後、ダンス・バンドからモダン・ジャズまで継承され、アメリカ歌曲集を代表する一曲となった。
有名な演奏・録音
名演には、アート・テイタムの超絶ソロ、セロニアス・モンクの独創アレンジが挙げられる。映画では1950年公開の「Tea for Two」でドリス・デイが歌い、知名度を一段と高めた。オーケストラ分野では前掲のショスタコーヴィチ版が重要な翻案例として知られる。
現代における評価と影響
現在もジャム・セッションや音楽教育で定番。コード置換やリハーモナイズの練習曲として有用で、ヴォーカルでは省略されがちなヴァースを復活させる解釈も増えている。多様なキーと編成の譜面が流通し、目的に応じた選曲が可能だ。
まとめ
親しみやすい旋律と堅牢なフォーム、ヴァースの物語性を併せ持つTea For Twoは、ジャズと舞台音楽の魅力を橋渡しする稀有な存在。verse付きの版に触れることで、曲の本来の設計や表情が立体的に見え、演奏・鑑賞の双方で理解が深まる。