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Stairway To The Stars verse付き

  • 作曲: MALNECK MATT, SIGNORELLI FRANK
#スタンダードジャズ
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Stairway To The Stars verse付き - 楽譜サンプル

Stairway To The Stars verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Stairway To The Stars」は、作曲MALNECK MATT(Matty Malneck)とSIGNORELLI FRANK(Frank Signorelli)による1939年のジャズ・スタンダード。歌詞はMitchell Parishが手がけたとされ、恋愛を題材にしたロマンティックなバラードとして広く親しまれている。タイトルにある“verse付き”は、主旋律(AABAなどの本体)に入る前の導入部=verse(前歌)を省略せずに演奏・歌唱する形態を指す。多くの演奏でテンポはスローからミディアム・バラード。キーは演奏者により可変だが、歌唱と管楽器双方で扱いやすい調に移調されるのが一般的である。

音楽的特徴と演奏スタイル

なだらかに上昇・下降する旋律線と、半音階的なつなぎがロマンティックなムードを醸成。和声はセカンダリー・ドミナントや循環進行を用い、バラードらしい充足感のある終止感が得られる。verseは語り口のイントロダクションとして機能し、ルバートで自由に、続く本体はテンポに入って歌詞の核心に迫るのが定石。器楽演奏ではテナーやアルトの抒情的ソロ、ビッグバンドではリッチなパッドとカウンターラインで包み込むアレンジが映える。モダン・ジャズ期以降はリハーモナイズでテンションを拡張し、間合いとダイナミクスでドラマを作る解釈が多い。

歴史的背景

本曲は、もともとインストゥルメンタル「Park Avenue Fantasy」を下敷きに、1939年に歌詞が付与されてスタンダード化した経緯を持つ。スウィング時代のダンス・バンドに素早く取り入れられ、ラジオとレコード市場の拡大とともにバラード・ナンバーとして定着。verseは当時のポピュラー標準形であったが、戦後のレコード制作では再生時間や番組構成上の都合から省略も増加。“verse付き”の演奏は、初期様式を尊重する伝承的アプローチとして現在も価値を持つ。

有名な演奏・録音

1939年のグレン・ミラー楽団による録音は広く知られ、スウィング・バラードとしての魅力を一般層に浸透させた。その後も多数の歌手・器楽奏者が取り上げ、ビッグバンドからスモール・コンボ、ストリングス併用アレンジまで多彩に展開。具体的な録音リストの網羅は情報不明だが、世代を超えて歌手とサックス奏者を中心に定番化しており、バラードの名曲としてレパートリーに組み込まれている。

現代における評価と影響

今日でもジャズ教育現場やセッションで扱われる標準曲の一つで、歌詞の情感と旋律の品位、そしてverseを含む古典的フォーマットの学習価値が高い。アレンジャーにとってはストリングスやホーン・セクションでの再構築余地が大きく、ハーモニー拡張や対旋律設計の好素材。ボーカリストはフレージング、ブレス、ダイナミクスの練磨に最適で、verse付き構成は物語性を強める手段として再評価されている。

まとめ

「Stairway To The Stars」は、1939年生まれのロマンティックなジャズ・スタンダード。verse付き構成は当時の様式を現代に橋渡しし、演奏者と聴衆に物語的な体験をもたらす。ビッグバンドから小編成、歌唱から器楽まで適応範囲が広く、バラード解釈の深化に最適な楽曲である。歌詞全文の提示は避けつつも、その世界観は旋律と和声、そして演者の表現によって鮮やかに立ち上がる。