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Softly As In A Morning Sunrise verse付き

  • 作曲: ROMBERG SIGMUND
#スタンダードジャズ
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Softly As In A Morning Sunrise verse付き - 楽譜サンプル

Softly As In A Morning Sunrise verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Softly As In A Morning Sunriseは、作曲Sigmund Romberg、作詞Oscar Hammerstein IIによる1928年のオペレッタ『The New Moon』の楽曲。舞台・映画で広く知られ、その後ジャズ・シーンで定番化した。コーラス(主部)に先立つ「ヴァース(verse)」が存在し、物語的な導入を担うが、ジャズ演奏では省略されることも多い。形式は一般に32小節のAABA、短調が基本。多くの歌手・器楽奏者に取り上げられ、スタンダードとして教育・演奏現場で定着している。歌詞の全文は控えるが、夜明けのやわらかな光と恋の感情を対比させる詩情が核にある。

音楽的特徴と演奏スタイル

主部は短調のAセクションで始まり、B(ブリッジ)で近親調の長調へ開ける感覚が魅力。和声はIIø–V–i(短調のツー・ファイブ)、ドミナントの代理、クロマチックな下降進行など、即興に適した枠組みを持つ。テンポはミディアム〜アップのスウィングが定番だが、ラテン・フィールやダブルタイムを織り交ぜる解釈も多い。verse付きのアレンジでは、自由なルバートで導入し、コーラスへグルーヴを切り替える手法が効果的。モダンな演奏ではモーダルなペダルやサブスティテュートで和声の色彩を拡張する例も見られる。

歴史的背景

1928年ブロードウェイ初演の『The New Moon』で発表。映画版は1930年、さらに1940年のMGM作品(出演:Jeanette MacDonald、Nelson Eddy)にも採用され、ポピュラー曲としての地位を確立した。スウィング時代にはビッグバンドのレパートリーへ浸透し、その後ビバップ〜ハードバップ期を通じてジャズ・スタンダードとして磨かれていく。舞台発のショー・チューンがジャズの語法で再解釈される典型例の一つであり、歌と器楽の両面で広い継承が続いている。

有名な演奏・録音

The Modern Jazz Quartetによる演奏は端正で対位法的な美感を示し、スタンダードとしての格を高めた。John Coltraneは1961年のVillage Vanguard公演でスリリングに展開し、後年『Impressions』等に収録され広く知られる。スウィング期にはArtie Shaw and His Orchestraの演奏が人気を博し、ポピュラーからジャズへの橋渡しの役割を担った。これらは同曲の多面的な解釈(室内楽的洗練、モーダル拡張、ビッグバンド・スウィング)を代表する名演として参照されることが多い。

現代における評価と影響

短調AABAという明快な骨格と、即興に適したコード進行により、セッションの定番曲として定着。教育現場でもアドリブ入門から発展形まで活用される。verse付きの演奏は舞台起源のドラマを伝えるうえで有効で、ボーカルや歌伴では再評価が進む。多くのフェイクブックに掲載され、キーやテンポ、フィールの選択肢が豊富で編成適応性が高い点も普及の要因となっている。

まとめ

舞台由来の抒情とジャズ的語法が結びついた同曲は、verseの物語性と主部の普遍的なフォームが両立する希有なレパートリーである。歴史的名演に学びつつ、テンポやフィール、リハーモナイズで現代的な表現へ拡張できる柔軟性が魅力。演奏者にとっては基礎と創意の双方を磨ける課題曲、聴き手にとっては時代を越えるメロディとハーモニーの美を味わえる一曲だ。