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Poor Butterfly verse付き

  • 作曲: HUBBELL RAYMOND
#スタンダードジャズ
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Poor Butterfly verse付き - 楽譜サンプル

Poor Butterfly verse付き|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Raymond Hubbell作曲、John Golden作詞の1916年作。ブロードウェイのレヴュー『The Big Show』で発表され、プッチーニ『蝶々夫人』に触発された世界観をもつ。“verse付き”とは、コーラス前の導入部(ヴァース)を省略せず演奏する形を指す。本稿はそのヴァースの意義と、ジャズ・スタンダードとしての歩みを解説する。

音楽的特徴と演奏スタイル

多くは穏やかなテンポのバラードで、ヴァースは語り口の強い自由なフレージング、続くコーラスで旋律が大きく歌われる。歌唱版は物語性、器楽版はハーモニー処理や間の取り方が要。ヴァースを入れると情景が立ち、終盤のカデンツに説得力が生まれる。アドリブはメロディ尊重型が好まれ、イントロとコーダの設計で叙情を保つのが定石だ。

歴史的背景

第一次大戦期のニューヨークで、劇場文化とティン・パン・アレーの歌作が結びついた潮流から生まれた。『Poor Butterfly』はその代表格で、舞台発のポピュラーとして広まり、後年はジャズのレパートリーに定着。作品の着想源として『蝶々夫人』が広く言及され、当時の観客の異国情緒への関心とも呼応した。

有名な演奏・録音

初出は『The Big Show』での舞台歌唱。その後、歌手による録音やジャズの器楽版が多数作られた。具体的な代表テイクやチャート上の記録は情報不明だが、1910年代末以降も継続的に演奏され、時代ごとにテンポや伴奏法が変化してきた点が聴きどころである。映画での使用例は情報不明。

現代における評価と影響

近年はヴァースを含めて上演する試みが増え、物語性と抒情性のバランスが再評価されている。和声と旋律の起伏が豊かで、デュオからコンボ、オーケストラまで編成を選ばないため、ジャズ教育やコンサートでも取り上げやすい。資料面での確定情報は限られるが、演奏価値は揺るがない。

まとめ

『Poor Butterfly』は、舞台発のポピュラーからジャズへ橋渡しされた曲で、verse付きで演じると導入の語りとコーラスの高まりが対比されドラマが鮮明になる。確定している出自(1916年、Hubbell作曲、Golden作詞)を踏まえ、場面に応じてテンポと編成を設計し、メロディの品位を保つことが解釈の鍵だ。